後遺障害の種類
交通事故における後遺障害(後遺症)は自賠法で規定されており、後遺障害等級1級~14級の140種類、35系列の後遺障害があります。定型的に決められているものであり、事故の症状が対応しないときは等級なしとなってしまいます。
交通事故における主な後遺障害は、以下のようにまとめることができます。
主な後遺障害の分類
病状 |
症状 |
高次脳機能障害 |
脳の損傷による記憶障害、注意障害、認知障害など。 |
遷延性意識障害 |
重度の昏睡状態で植物状態とも言います。 |
脊髄損傷 |
中枢神経系である脊髄の損傷による障害、運動機能の喪失、知覚消失など。 |
むちうち(むち打ち) |
首・腰に痛みや痺れ、頭痛や肩こり、めまいなど。 |
眼の後遺障害 |
視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害など。 |
耳の後遺障害 |
聴力障害、欠損障害、耳鳴、耳漏など。 |
鼻の後遺障害 |
嗅覚の脱失、欠損障害など。 |
口の後遺障害 |
咀嚼・言語機能障害、歯牙の障害、嚥下障害・味覚の逸失・減退など。 |
上肢(肩・腕)の後遺障害 |
上肢の欠損障害、骨折や脱臼、神経麻痺など。 |
手の後遺障害 |
手指の欠損障害、手指の機能障害、手指の変形障害など。 |
下肢の後遺障害 |
下肢の欠損障害、骨折や脱臼、神経麻痺など。 |
足指の後遺障害 |
足指の欠損障害、足指の機能障害、足指の変形障害など。 |
醜状の後遺障害 |
頭部の欠損、線状痕、瘢痕など。 |
それぞれの場合に、典型的な症状と、後遺障害が認定される基準、また、適正な認定を受ける上での留意点を記載しておりますので、ご参考ください。
但し、同じ傷病名でも、症状が大きく異なる場合がありますので、専門の医師及び弁護士によく相談されることをお勧めいたします。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、交通事故などの際に激しい衝撃によって脳が揺さぶられ、神経線維が千切れることで発症する脳の病気です。
症状としては、物忘れがひどくなる、新しいことが覚えられなくなる、一度に複数のことができなくなる、怒りっぽくなる、感情をコントロールできなくなる、公共交通機関を利用できない、常に見守りが必要となるなどがあります。
高次脳機能障害で大きな問題は、日ごろの生活に支障がないことも多く、「事故のショックで変わってしまったのかな」という程度に受け止められ、病気が見落とされてしまいがちなことです。
後から気づいても、必要な検査等をしていないがために、その症状は事故とは無関係とされてしまうこともあります。
事故後、少しでも気になる点がある場合は、専門医を受診してください。
高次脳機能障害の認定基準
1級1号 (要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 (要介護) |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 |
神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 |
神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 |
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することが出来る労務が相当な程度に制限されるもの |
遷延性意識障害
遷延性意識障害の症状
遷延性意識障害とは、一般的には植物状態と呼ばれている症状です。日本脳神経外科学会によりますと、下記の6つの条件に当てはまる状態が3ヶ月以上の間、継続して見られた場合を「遷延性意識障害者(せんえんせいいしきしょうがい)」と呼んでいます。
①自力移動ができない。
②自力摂食ができない。
③屎尿失禁をしてしまう。
④眼球はかろうじて物を追うこともあるが、認識はできない。
⑤「目を開け」「手を握れ」などの簡単な命令は応ずることもあるが、それ以上の意志の疎通はできない。
⑥声を出しても意味のある発語ができない。
遷延性意識障害の認定基準
症状が固定した段階で、上記の遷延性意識障害の定義に該当すれば、通常、後遺障害等級1級(労働能力喪失率100%)が認定されます。
遷延性意識障害の留意点
遷延性意識障害の場合、補償に関して問題になることの1つは介護費用のみとなります。
保険会社から提示してくる介護費用は、実際の家族の負担などが織り込まれていない場合などが多々あります。
また、これは痛ましいことですが、「植物状態なのだから」と不当に低い賠償額を提示してくることもあったりするのです。
後遺障害の認定や損害賠償については、早い段階で弁護士にご相談頂くことが不可欠です。
脊髄損傷
脊髄損傷の症状
交通事故による衝撃は、小脳から腰椎に伸びる中枢神経である脊髄の損傷につながる場合があります。脊髄を損傷すると、症状としては損傷された脊髄から手足の指先の部分において運動・知覚に障害が現れます。尚、脊髄損傷には大きく分けて2つの分類があります。
①完全麻痺 |
下肢がまったく動かず感覚もなくなった状態のこと。全く何も感じないわけではなく、受傷した部分から下の麻痺した部分にかけて、痛みを感じることもある。頚椎を損傷した場合には、四肢全てが動かないという状態になる。 |
②不完全麻痺 |
脊髄の一部が損傷して一部が麻痺をしている状態のこと。ある程度運動機能が残っている軽症から感覚知覚機能だけ残った重症なものもある。 |
脊髄損傷の後遺障害認定基準
等級 |
認定基準 |
1級1号 |
①高度の四肢麻痺が認められるもの ②高度の対麻痺が認められるもの ③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの ④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの |
2級1号 |
①中程度の四肢麻痺が認められるもの ②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの ③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの |
3級3号 |
② 度の四肢麻痺が認められるもの ②中等度の対麻痺が認められるもの |
5級2号 |
② わめて軽易な労務のほかに服する ②一下肢に高度の単麻痺が認められるもの |
7級4号 |
軽易な労務以外には服することができないもの 下肢に中等度の単麻痺が認めら得るもの |
9級10号 |
通常の労務に服することができるが、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの 一下肢に軽度の単麻痺が認められるもの |
12級13号 |
通常の労務に服することができるが、多少の障害を残すもの 運動性、支持性、巧緻性及び速度について支障が殆ど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの 運動障害が認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの |
脊椎損傷の留意点
脊髄損傷の後遺障害において適正な等級認定を受けるためには、高次CT画像やMRI画像などの画像所見と、医師が診察して作成した後遺障害診断書や神経学的所見など、必要な資料を整えた上で後遺障害の等級認定を得る手続きをしなければなりません。
重大な症状で苦しんでいらっしゃるにも関わらず、漫然と通院しているだけでは適切な後遺障害等級が得られず、適切な賠償を受けることが出来ません。
どのような検査が必要か、どのような書類が必要になるかは、後遺障害の知見が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めします。
むちうち(むち打ち)
交通事故といえば真っ先に思い浮かぶ怪我が「むちうち」ではないでしょうか。
実は正式な傷病名ではなく、事故時に首がムチのようにしなり頸椎周辺を負傷させるためこのような俗称がついています。
正式な傷病名としては、椎捻挫(けいついねんざ)、頸部挫傷(けいぶざしょう)、外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、バレ・リュー症候群などと診断されます。
むちうちは大した怪我ではないという話も良く聞きますが、症状によっては日常生活に支障をきたすことも多々あり、しっかりとした治療や検査をしていく必要があります。
むちうちの種類
むちうちの種類としては、捻挫型、神経根症型、バレ・リュー型があります。
それぞれの原因と症状について、説明します。
①捻挫型
外傷性頚部症候群の約70%を占めている傷病です。
②神経根症型
傷病名では、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎椎間板ヘルニアなどと呼ばれるもので、頚部に痛みや、運動制限を感じるものです。
また、左右のどちらかに肩から手指にかけて、だるさ感や痺れや痛みなどを感じる症状です。
③バレ・リュー型
バレ・リュー型は、交感神経の損傷が原因となり、自律神経失調症状を示し、倦怠感や疲労感、耳鳴りや動悸などの状態を示すことが多いものです。
後遺障害認定について
むちうちは、後遺障害として認められないと思い込まれている方もおられるのですが、実際には、むちうちでも後遺障害が認められることはあります。実は、全部の後遺障害認定の中で最も多く、半分以上を占めているのは、むちうちのケースなのです。
但し、むちうちであれば、必ず後遺障害が認められる訳ではなく、下記の表が認定の基準となります。
等級 |
労働能力喪失率 |
労働能力喪失期間 |
認定基準 |
12級13号 |
14% |
5~10年 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 |
5% |
5年以下 |
局部に神経症状を残すもの |
「むちうち」が後遺障害として認定されるためには、交通事故に遭われた後、ある程度の期間、根気よく継続的に治療を続けることが必要ですし、一定の検査を受ける必要もあります。
「むちうち」で後遺障害の認定を受けるためには、継続的な治療と適切な検査を受けることが重要になり、症状が医学的に説明できるようにする必要があります。
このあたりは一般の方が適切な治療と検査を漏れなくやっていくのはなかなか難しいと言えます。
可能でしたら、特に弁護士費用特約を使えるのであれば、早期に交通事故に詳しい弁護士に依頼してアドバイスをもらいながら治療や検査をしていく必要があります。
「むちうち」後遺障害の14級と12級
「むちうち」の後遺障害としては、12級又は14級があります。
そして、14級と12級との違いは、自賠責後遺障害等級表では、
12級「局部に頑固な神経症状を残すもの」(13号)、
14級「局部に神経症状を残すもの」(9号)
とされています。
要するに、シビレなどの神経症状が交通事故の外傷によるものと医学的に証明、多くの場合は画像上証明できるかどうかの違いです。
等級が12級と認定されるか、14級9号と認定されるかは、受け取ることのできる損害賠償額が大きく変わってしまいます。
ちなみに、自覚症状があっても医学的に説明できないような場合には非該当とされてしまいます。
むちうちの後遺障害における12級・14級の認定についてはこちらもあわせてお読みください>>
医学的に証明できる場合とは?
①知覚障害、局部のしびれ感、麻痺がある場合
それがレントゲン写真・CT写真・MRI写真・脳波検査・筋電図等の検査によって証明される場合
②知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるときに、神経学的所見として神経根症状誘発検査において陽性の所見が認めら
れ、かつ、これを客観的に裏付ける画像上の椎間板の膨隆や突出、神経根の圧迫等が確認できる場合 などがあります。
以上「むちうち」について述べてきましたが、昨今自賠責保険の後遺障害等級認定も厳格化の方向にあります。そういった場合、自賠責の認定を取るために必要なことを治療開始から症状固定まで行い、症状固定後も適切な資料収集が求められます。
症状があれば認定されていた時代から、症状が合っても適切な治療・検査をして、必要な資料を自賠責保険に提出していくことが必要な時代になっています。
このような時代だからこそ、交通事故における専門的知識を有する弁護士のサポートを受けることが重要です。
眼の後遺障害
眼の後遺障害の症状
交通事故が原因で、失明をしてしまったり、視力が低下するなど、眼に後遺障害を負ってしまうケースもあります。眼の後遺障害は、以下のように大きく2つに分類することが可能です。
①眼球の障害 |
視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害 |
②眼瞼の障害 |
欠損、運動障害 |
眼の後遺障害の認定基準
眼球の後遺障害、眼瞼の後遺障害の認定基準はそれぞれ以下の通りになります。
①眼球の遺障害の認定基準
1)視力障害
等級 |
認定基準 |
1級1号 |
両目が失明したもの |
2級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの |
2級2号 |
両眼の視力が002以下になったもの |
3級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
4級1号 |
両眼の視力が0.06以下になったもの |
5級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
6級1号 |
両眼の視力が0.1以下になったもの |
8級1号 |
1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの |
9級1号 |
1眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの |
9級2号 |
両眼の視力が0.6以下になったもの |
10級1号 |
1眼の視力が0.1以下になったもの |
13級1号 |
1眼の視力が0.6以下になったもの |
2)調節機能障害
等級 |
認定基準 |
11級1号 |
両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの |
12級1号 |
1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの |
いずれも正常な場合と比べて2分の1以下になってしまった状態を言います
3)運動障害
等級 |
認定基準 |
10級2号 |
正面を見た場合に複視の症状を残すもの |
11級1号 |
両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの |
12級1号 |
1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの |
13級2号 |
正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
4)視野障害
等級 |
認定基準 |
9級3号 |
両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
13級2号 |
1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
②眼瞼の後遺障害の認定基準
等級 |
認定基準 |
欠損に関すること |
|
9級4号 |
両目の瞼に著しい欠損を残すもの |
11級3号 |
1眼の瞼に著しい欠損を残すもの |
運動障害に関すること |
|
11級2号 |
両眼の瞼に著しい運動障害を残すもの |
12級2号 |
1眼の瞼に著しい運動障害を残すもの |
13級4号 |
両眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの |
14級1号 |
1眼の瞼の一部に欠損を残しまたは睫毛はげを残すもの |
眼の後遺障害の留意点
眼の後遺障害の認定の際には、後遺障害に詳しい眼科医を受診し、後遺障害診断書を作成してもらう事が重要です。
また、眼の後遺障害は、実は眼の外傷が原因ではなく、頭部外傷によって視神経に影響が起こり、眼の後遺障害になることもあります。
その際は、眼科を受診するだけではなく、神経内科や脳神経外科での診察も必要になります。
このような判断は後遺障害に精通した専門家でなければ難しい面があります。
事故後、できるだけ早いタイミングで、専門的判断の出来る弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
耳の後遺障害
耳の後遺障害の症状
耳の後遺障害の症状としては、交通事故後に難聴になってしまったり、耳の欠損や耳鳴・耳漏などがあります。
耳の後遺障害の認定基準
①聴力障害
1)両耳の聴力に関するもの
等級 |
認定基準 |
4 級 3 号 |
両耳の聴力を全く失ったもの |
6 級 3 号 |
両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
6 級 4 号 |
1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が 40cm 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
7 級 2 号 |
両耳聴力が 40cm 以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの |
7 級 3 号 |
1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
9 級 8号 |
耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの |
10 級 5 号 |
両耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの |
11 級 5 号 |
両耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
2)片耳の聴力に関するもの
等級 |
認定基準 |
9 級 9 号 |
1 耳の聴力を全く失ったもの |
10 級 6 号 |
1 耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
11 級 6 号 |
1 耳の聴力が 40cm 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
14 級 3 号 |
1 耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
②欠損障害
等級 |
認定基準 |
12 級 4 号 |
1 耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
③耳鳴・耳漏
等級 |
認定基準 |
12 級相当 |
30dB 以上の難聴を伴い、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なもの 30dB 以上の難聴で、常時耳漏を残すもの |
14 級相当 |
30dB 以上の難聴を伴い、常時耳鳴りを残すもの 30dB 以場の難聴で、耳漏を残すもの |
耳の後遺障害の留意点
耳の後遺障害についても、眼と同様に、耳に外傷を負ってしまい、後遺障害となってしまう場合もありますが、頭部外傷によって聴覚神経に影響が発生し、耳の後遺障害を負ってしまう場合もあります。
そのため、耳の後遺障害においては、耳鼻科で診察を受けること以外にも、神経内科や脳神経外科での診察を受けることも重要になります。
そのあたりの判断は弁護士に相談することをお薦め致します。
鼻の後遺障害
鼻の後遺障害の症状
交通事故によって、鼻に後遺障害を負われてしまう場合もあります。鼻の後遺障害の症状としては、鼻を欠損してしまうことに加え、交通事故後に嗅覚機能の脱失・減退があげられます。
鼻の後遺障害の認定基準
鼻の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
①嗅覚の脱失
等級 |
認定基準 |
12 級相当 |
嗅覚を脱失または鼻呼吸困難が存ずるもの、(嗅覚の脱失とはT&Tオルファクトメーターで5.6以上) |
14 級相当 |
嗅覚の減退するもの、(嗅覚の減退とはT&Tオルファクトメーターで2.6以上5.5以下) |
②欠損障害
等級 |
認定基準 |
9級5号 |
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
鼻の後遺障害の留意点
鼻の後遺障害においても、鼻の外傷によって後遺障害を負ってしまう場合もありますが、交通事故による頭部外傷が原因となり、嗅神経に影響が発生し、鼻の後遺障害を負ってしまう場合があります。
そのため、鼻の後遺障害においては、耳鼻科のみならず、神経内科や脳神経外科で診察を受けることが重要です。
口の後遺障害
口の後遺障害について
交通事故によって、口に後遺障害が残存してしまう場合もあります。
口の後遺障害の主な症状としては、歯が折れてしまう、上手く話せなくなってしまう(言語機能障害)、ものが食べられなくなってしまう(咀嚼機能障害)、味が分からなくなってしまう等があります。
口の後遺障害の認定基準
口の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
① 咀嚼・言語機能障害
等級 |
認定基準 |
1級2号 |
咀嚼および言語の機能を廃したもの |
3級2号 |
咀嚼または言語の機能を廃したもの |
4級2号 |
咀嚼および言語の機能に著しい障害を残すもの |
6級2号 |
咀嚼または言語の機能に著しい障害を残すもの |
9級6号 |
咀嚼および言語の機能に障害を残すもの |
10級3号 |
咀嚼または言語の機能に障害を残すもの |
② 歯牙の障害
等級 |
認定基準 |
10級4号 |
14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
11級4号 |
10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
12級3号 |
7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
13級5号 |
5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
14級2号 |
3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
③ 嚥下障害・味覚の逸失・減退
等級 |
認定基準 |
12 級相当 |
味覚を脱失したもの |
14 級相当 |
味覚を減退したもの |
④ 特殊例
等級 |
認定基準 |
10級3号 |
気管力ニューレの抜去困難症である場合 |
6級2号 |
半永久的に抜去が困難な気管力ニューレの抜去困難症である場合 |
口の後遺障害の留意点
歯牙の障害の場合は、専用の後遺障害診断書を利用します。
また、歯牙の障害は、失った歯が3本以上喪失しなければ後遺障害の対象にはならないことに加えて、親知らずの喪失等は対象外になる点に注意が必要です。
当事務所では、口に後遺障害を負われた方に対しても、適正な後遺障害の等級認定を得られるように認定のサポートを行っております。提携する歯科医院もございますので、口に後遺障害を負われてしまい、お悩みになられていることがございましたら、お気軽にご相談下さい。
上肢(肩・腕)の後遺障害
上肢の後遺障害の症状
交通事故では、肩や腕を骨折されるなど、上肢に後遺障害を負ってしまうことがよくあります。
オートバイを運転中に交通事故に遭われた際は上肢に重大な後遺障害が残存することがあります。
より正確には、上肢は鎖骨、肩甲骨、上腕骨、橈骨、尺骨の5つの骨で構成されており、骨折以外にも脱臼や神経麻痺などの症状が典型的です。
肩が上がらない、腕が曲がらない、なども上肢の後遺障害に含まれます。
上肢の後遺障害の認定基準
上肢の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
① 上肢の欠損障害
等級 |
認定基準 |
1級3号 |
両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
2級3号 |
両上肢を手関節以上で失ったもの |
4級4号 |
1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
5級4号 |
1上肢を手関節以上で失ったもの |
② 上肢の機能障害
等級 |
認定基準 |
1級4号 |
両上肢の用を全廃したもの |
5級6号 |
1上肢の用の全廃したもの |
6級6 号 |
1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
8級6号 |
1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級10号 |
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 |
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
③ 変形障害
等級 |
認定基準 |
7級9号 |
1上肢に仮関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 |
1上肢に偽関節を残すもの |
12級8号 |
長管骨に変形を残すもの |
上肢の後遺障害の留意点
上肢の後遺障害認定において、最も気をつけなければならないのは、可動域の測定です。
可動域の測定とは、どこまで動かせることができるかの範囲を測ることを言い、可動域によって、後遺障害が認定されるかどうかや、等級が大きく変わってしまうことがあります。
ところが、可動域の測定は、測り方によって大きく変わるため、慣れていない医師や作業療法士が行うと、大きく間違えた値が出てしまうことがあるので、注意が必要です。
当事務所では、正しい可動域の測定のために採るべき方法や、後遺障害認定のために必要なアドバイスも随時行っております。
適正な後遺障害等級の認定を得るためには、個別に適切な対応方法を取る必要がありますので、お困りのことやご不安がありましたら、お気軽に当事務所までご相談下さい。
手の後遺障害
手指の後遺障害の症状
交通事故によって手に外傷を負い、後遺障害となってしまう場合もあります。手の後遺障害は、例えば手指の欠損や機能障害などがあります。
手指の後遺障害の認定基準について
手指の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
① 手指の欠損障害
等級 |
認定基準 |
1級3号 |
両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
2級3号 |
両上肢を手関節以上で失ったもの |
4級4号 |
1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
5級4号 |
1上肢を手関節以上で失ったもの |
② 手指の機能障害
等級 |
認定基準 |
3級5号 |
両手の手指の全部を失ったもの |
6級7号 |
1手の5の手指又は母指を含み4の手指を失ったもの |
7級6号 |
1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指を失ったもの |
8級3号 |
1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指を失ったもの |
9級8号 |
1手の母指又は母指以外の2の手指を失ったもの |
11級6号 |
1手の示指、中指又は薬指を失ったもの |
12級の8の2 |
1手の小指を失ったもの |
13級5号 |
1手の母指の指骨の一部を失ったもの |
14級6号 |
1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
③ 手指の変形障害
等級 |
認定基準 |
4級6号 |
両手の手指の全部の用を廃したもの |
7級7号 |
1手の5の手指又は母指を含み4の手指の用を廃したもの |
8級4号 |
1手の母指を含み3の手指又は母指以外の4の手指の用を廃したもの |
9級9号 |
1手の母指を含み2の手指又は母指以外の3の手指の用を廃したもの |
10級6号 |
1手の母指又は母指以外の2の手指の用を廃したもの |
12級9号 |
1手の示指、中指又は環指の用を廃したもの |
13級4号 |
1手の小指の用を廃したもの |
14級7号 |
1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの |
手指の後遺障害の留意点
上肢の後遺障害認定においても、上肢の場合と同様に、可動域の測定には注意が必要です。
可動域の測定とは、どこまで動かせることができるかの範囲を測ることを言い、可動域によって、後遺障害が認定されるかどうかや、等級が大きく変わってしまうことがあります。
ところが、可動域の測定は、測り方によって大きく変わるため、慣れていない医師や作業療法士が行うと、大きく間違えた値が出てしまうことがあるので、注意が必要です。
また、指が動かない等のときでも上腕の神経が原因となることも多々あります。その場合は速やかに専門家のアドバイスを受けることが肝要です。
当事務所では、正しい可動域の測定のために必要なことや、後遺障害認定のアドバイスを随時行っております。
適正な後遺障害等級の認定を得るためには、個別に適切な対応方法を取る必要がありますので、お困りのことやご不安がありましたら、お気軽に当事務所までご相談下さい。
下肢の後遺障害
下肢の後遺障害の症状
下肢の後遺障害は、骨折や脱臼、神経損傷など高エネルギーが下肢に加わることによって引き起こされることが多くなっています。
下肢の後遺障害の主な症状は、麻痺などにより機能障害が起き歩けなくなる、関節のトラブルなどにより足の可動域が制限される、骨癒合の不良などです。膝関節や股関節の障害もこれに含まれます。中には人工骨を入れ無くてはならないケースもあります。
下肢の後遺障害の認定基準
下肢の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
下肢の欠損障害
等級 |
認定基準 |
1級5号 |
両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
2級4号 |
両下肢を足関節以上で失ったもの |
4級5号 |
1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
4級7号 |
両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
5級5号 |
1下肢を足関節以上で失ったもの |
7級8号 |
1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
機能障害
等級 |
認定基準 |
1級4号 |
両下肢の用を全廃したもの |
5級5号 |
1下肢の用を全廃したもの |
6級7号 |
1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
8級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級10号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 |
1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
変形障害
等級 |
認定基準 |
7級10号 |
1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級9号 |
1下肢に偽関節を残すもの |
12級8号 |
長管骨に変形を残すもの |
短縮障害
等級 |
認定基準 |
8級5号 |
1下肢を5㎝以上短縮したもの |
8級相当 |
1下肢が5㎝以上長くなったもの |
10級8号 |
1下肢を3㎝以上短縮したもの |
10級相当 |
1下肢が3㎝以上長くなったもの |
13級8号 |
1下肢を1㎝以上短縮したもの |
13級相当 |
1下肢が1㎝以上長くなったもの |
下肢の後遺障害の留意点
下肢の後遺障害認定においても、上肢の場合と同様に、最も気をつけなければならないのは、機能障害を基礎づける可動域の測定です。
可動域の測定とは、どこまで動かせることができるかの範囲を測ることを言い、可動域によって、後遺障害が認定されるかどうかや、等級が大きく変わってしまいます。
ところが、可動域の測定は、測り方によって大きく変わるため、慣れていない医師や作業療法士が行うと、大きく間違えた値が出てしまうことがあるので、注意が必要です。
また、麻痺については神経伝達速度テスト等必要な検査を受けない限り認定が難しくなります。整形外科によってはそのような検査をせずにただ経過観察のみ行う場合もあるので注意が必要です。
当事務所では、正しい可動域の測定の仕方及び信頼できる医療機関の紹介や、後遺障害認定に向けて必要なアドバイスも行っております。
適正な後遺障害等級の認定を得るためには、個別に適切な治療・検査等対応方法を受ける必要がありますので、お困りのことやご不安がありましたら、お気軽に当事務所の初回無料相談をご利用下さい。
足指の後遺障害
足指の後遺障害の症状
交通事故によって手に外傷を負い、後遺障害となってしまう場合もあります。例えば足指の欠損、足指の機能障害などです。オートバイを運転している最中に交通事故に遭われた場合に多くなっています。
足指の欠損障害の認定基準
足指の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
① 欠損障害
等級 |
認定基準 |
5級8号 |
両足の足指の全部を失ったもの |
8級10号 |
1足の足指の全部を失ったもの |
9級14号 |
1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの |
10級9号 |
1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの |
12級11号 |
1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの |
13級10号 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
② 機能障害
等級 |
認定基準 |
7級11号 |
両足の足指の全部の用を廃したもの |
9級15号 |
1足の足指の全部の用を廃したもの |
11級9号 |
1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
12級12号 |
1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
13級10号 |
1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
14級8号 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
足指の後遺障害の留意点
足指の後遺障害認定においても、実は、可動域の測定が重要です。
可動域の測定とは、どこまで動かせることができるかの範囲を測ることを言い、可動域によって、後遺障害が認定されるかどうかや、等級が大きく変わってしまうことがあります。
ところが、可動域の測定は、測り方によって大きく変わるため、慣れていない医師や作業療法士が行うと、大きく間違えた値が出てしまうことがあるので、注意が必要です。
当事務所では、正しい可動域の測定のために採るべき手段や、その他後遺障害認定に必要なアドバイスを随時行っております。
適正な後遺障害等級の認定を得るためには、個別に適切な対応方法を取る必要がありますので、お困りのことやご不安がありましたら、お気軽に当事務所までご相談下さい。
醜状の後遺障害
醜状障害の症状
交通事故によって負った外傷の傷跡などが残った場合、怪我の場所(体の部分)によっては醜状(しゅうじょう)障害と呼ばれる後遺障害になることがあります。
醜状障害の認定基準
醜状障害の等級は、傷の大きさとともに、醜状の場所が目立つ場所にあるのかどうかによって異なります。
尚、以前は性別が男性か女性かによっても等級が異なってしましたが、2010年に京都地裁で性別の違いによって後遺障害等級が異なることは男女平等を定めた憲法に違反するという判決があり、その後の醜状障害においては、性別による差はなくなりました。
等級 |
認定基準 |
7級 |
12 外貌に著しい醜状を残すもの |
9級 |
13 外貌に相当な醜状を残すもの |
12級 |
13 外貌に醜状を残すもの |
14級 |
3 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの 4 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの |
外貌に著しい醜状を残すものとは、以下のいずれかに該当する場合のことになります。
①頭部に手のひら大以上の瘢痕、あるいは頭蓋骨の手のひら大以上の欠損がある場合。
②顔面部に卵大面以上の瘢痕、長さ5cm以上の線状痕、あるいは、10円玉大以上の組織陥没がある場合。
③首に手のひら大以上の瘢痕がある場合。
また、外貌に醜状を残すものとされる場合の「醜状」とは、以下のいずれかに当てはまる場合になります。
①頭部に卵大面以上の瘢痕、あるいは、頭蓋骨の卵大面以上の欠損がある場合。
②顔面部に10円玉大以上の瘢痕、長さ3cm以上の線状痕がある場合。
③首に卵大面以上の瘢痕がある場合。
醜状障害の留意点
醜状障害の場合、等級認定においては、どの時点で「症状固定」と判断するのか、つまり「これ以上、治療を続けても、これ以上良くならない」と判断するのか、が問題になりやすいと言えます。
適切な時期に適切なタイミングで症状固定をしないと、得られるはずだった後遺障害認定が得られず適切な賠償を受けられないこととなります。
後遺障害認定を受ける際に最寄りの自賠責の運営する機関にて確認を受けることとなります。その際に弁護士が同行することが好ましいと言えます。
また、損害賠償においては、被害者の職業などによっても、賠償額が異なることがありますので、注意することが必要です。
交通事故により大切な身体に傷を負い、その傷が残ってしまいそうなときは是非一度ご相談下さい。
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