交通事故で請求できる損害の種類
交通事故(人身事故)において相手方に請求できる損害賠償様々な項目に分かれます。
以下では、これらの主な損害項目を詳しく説明します。
それでは早速見ていきましょう。
①治療費
治療のために医師や整骨院等にかかった費用です。
必要かつ相当な実費全額が損害賠償の対象となります。
交通事故の被害に遭って入院したり通院したりする場合には、通常、自賠責保険を利用して治療費が支払われます。
②通院交通費
交通事故の被害に遭って通院を余儀なくされた場合にかかる交通費です。
通常は、電車・バスの料金や自家用車を利用した場合のガソリン代です。
症状によって公共交通機関が利用できない場合、公共交通機関によるとあまりにも不便な場合にはタクシー利用も認められます。
③装具・器具購入費
交通事故による受傷の程度・種類に応じて必要なものについて認められます。
例えば、義歯、義眼、義手、義足、車いす、電動ベッド、介護ベッド、コルセット、サポーター、スロープ、歩行訓練器など
④付添費用
家族が交通事故の被害に遭って入院したり、通院したりする際に、家族の付添いが必要となった場合の費用です。家族が付き添った場合、その時間は、他の仕事ができなくなりますので、損害として認められることがあります。
例えば、交通事故の被害者が幼児である場合や重い骨折等により日常生活に支障が生じているような場合に認められます。
⑤将来介護費
交通事故の被害に遭って、後遺障害が残ったため、将来にわたって介護が必要になった場合には、介護にかかる費用が損害賠償の対象になります。
将来介護費は、医師の指示や症状の程度等を考慮し、必要性があると認められる場合に支払われます。
⑥雑費
入院した場合には、雑費について定額が支払われます。
通常は、日額1,500円程度とされています。
⑦休業損害
給与所得者(会社員等)の場合には、事故前の収入を基礎として交通事故による受傷によって休業したことによる現実の収入減が損害賠償の対象となります。
現実の収入減がなくとも、有給休暇を使用した場合には休業損害として認められます。
事業所得者の場合には、現実の収入減があった場合に認められます。
自営業者などの休業中の固定費(家賃、従業員給与等)の支出は、事業の維持・存続のために必要やむを得ないものとして損害と認められます。
家事従事者(主婦)の場合
専業主婦の場合、賃金センサス(平均賃金)を参考にして、休業損害を算定します。
兼業主婦(パートタイマーなど)については、現実の収入減と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方により算定するのが通常です。
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無職者の場合
失業者の場合には、労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるものについては認められます。就労の蓋然性は、失業していた事情、失業期間の長さ、就職活動の状況、資格・技能の有無などを考慮して判断されます。
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学生の場合
原則として休業損害は認められませんが、アルバイトなどにより収入があれば認められます。また、就職遅れによる損害は認められます。
⑧傷害(入通院)慰謝料
交通事故の被害によってケガをしたときから、治ゆまたは症状固定によって、治療が終了したときまでの慰謝料になります。
傷害(入通院)慰謝料は、原則として、入通院期間に応じて算定表(過去の裁判例を参考にして作成されたもの)に基づいて算定されます。
⑨後遺傷害慰謝料
後遺障害等級が認定された場合に認められる慰謝料です。
後遺障害認定に至らない後遺傷害であっても慰謝料が認められる場合があります。
ただ、裁判により判断を受ける必要がありますが最近裁判所は自賠責保険の結果を相当重視します。
⑩後遺傷害逸失利益
後遺傷害を残したために労働能力が低下し、将来にわたって収入が減ることによる損害です。
後遺症逸失利益は、労働能力の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して算定されます。
通常の算定式は、次のとおりです。
【基礎収入額(事故前の年収)】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】
・基礎収入は、原則として事故前年の収入を基礎とします。
・労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとに定められており、原則その数字を用いて決めます。
・労働能力喪失期間は、始期は、症状固定日です。未就労者の始期は、原則18歳ですが、大学生の場合には大学卒業時となります。終期は、原則として67歳です。
症状固定時の年齢が67歳を超える者については、原則として簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
むち打ちの場合の労働能力喪失期間については、12級で10年程度、14級で5年程度とする例が一般的です。
⑪死亡慰謝料
交通事故の被害により死亡した場合の慰謝料です。
一家の支柱となる者 2800万円
母親、配偶者 2500万円
独身者、子ども、幼児 2000万円~2500万円
という基準で決めることになります。
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⑫死亡逸失利益
交通事故の被害により死亡した場合に、将来にわたって収入がなくなった分の損害です。
通常の算定式は、次のとおりです。
【基礎収入額(事故前の年収)】×【1-生活費控除率】×【就労可能年数に対応するライプニッツ係数】
生活費控除率は、おおむね
被扶養者1人の者 40%
被扶養者2人以上の者 30%
主婦、独身、幼児等 30%
とされています。
⑬葬儀費用
交通事故の被害により死亡し、葬儀費用を支出した場合には、この費用についても損害賠償の対象になります。
葬儀費用は、原則として150万円を請求できます。
ただし、実際かかった金額がこれを下回る額の場合には、その額を請求できます。
以上の各項目の損害を基本加害者が加入している損保会社に請求していくこととなります。
交渉でまとまらない場合には、民事訴訟を提起することも視野に入れる必要がありますが、訴訟にふさわしい事案とそうではない事案もあり、訴訟にしたためにかえって事前交渉額を下回ることも多々あるため、訴訟提起には慎重な判断が必要です。
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