子どもが交通事故に遭ったらどうする?弁護士が解説
大切なお子様が交通事故に遭ってしまったらどうすれば良いのでしょうか。
病院はどこへ行けば良いのか、治療費は誰が支払うのか、慰謝料はもらえるのか、後遺障害が残ったらどうなってしまうのか等、不安は尽きないのではないでしょうか。
お子様の交通事故も大人の方と何も変わりません。
子どもだからむちうちにならないとか、子どもだから治療がいらないなどと言う医師や保険会社の方もまだ散見されますが、そんなことはありません。
しっかりと治療してしっかりと賠償してもらわなくてはなりません。以下、説明していきます。
1 子どもが交通事故に遭った場合の流れ
子どもが交通事故に遭った場合流れは下記のとおりです。
1 治療
交通事故で怪我をしたら、当然病院で検査・治療をすることになります。事故直後にあまり痛みなどを感じていなかったとしても、後々に強い症状が出てくるケースもあります。
初回の通院が事故から数週間空いてしまうと、交通事故と生じている症状との因果関係が否定される可能性もあります。
とにかく事故当日、遅くとも数日内に病院へ行きましょう。
2 症状固定
症状固定とは、それ以上治療をしても症状が変わらない状況を言います。
この症状固定後に、賠償金の金額が確定し、後遺障害申請が可能となります。
3 後遺障害申請
症状固定となり、その時点で何らかの後遺症が残っている場合は、後遺障害申請をします。
結果は、2、3か月程度かかることが多く、重症案件では半年程度かかることもあります。
4 示談交渉
怪我の完治、または症状固定後の後遺障害等級の有無が確定した段階で、慰謝料などを含めた賠償金額が算定されます。
慰謝料などの賠償金を決める基準は「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所基準(弁護士基準)」の3種類あり、保険会社が採用する「任意保険基準」は公開されていませんが自賠責保険の金額に近いことがほとんどです。
裁判所が採用する「裁判所基準(弁護士基準)」が最も高額となります。
保険会社は、示談交渉段階では、弁護士に依頼をしなければ、「裁判所基準(弁護士基準)」での示談に応じてくれません。
適切な賠償金を獲得するためにも、事故に遭った場合は弁護士に依頼することを検討すべきであると言えます。
5 裁判
保険会社との交渉の結果、納得いく条件や金額にならなかった場合には、最終的に裁判所に訴訟提起を行います。
裁判になれば裁判基準に基づいた賠償金の支払いを受けられる可能性が高くなりますが、ケースによっては相手保険会社が認めていた治療期間を大幅に短縮するなどあるため、訴訟とするかどうかは慎重に判断する必要があります。
大体1から1年半程度の時間がかかります。
また、訴訟は完全書面主義であり、一般の方が適切に訴訟提起して、訴訟遂行することはほぼ不可能であり、弁護士に依頼することが必須といえます。
2 請求できる賠償金
子どもが交通事故に遭った場合以下の賠償金を請求することができます。
1 治療費
怪我の治療のためにかかっ治療費を請求できます。加害者が任意保険に加入している場合には、治療費の支払いが打ち切られるまでの間は、保険会社から病院に直接支払われるのが一般的です。
治療費の支払いが打ち切られた後は、いったん立て替えのうえ自費で通院を継続するか、その時点で損害額を確定させて示談交渉に移るかを検討することとなります。
2 通院交通費
通院のために公共交通機関を利用した場合には、利用額が損害として認められます。
通院のために自家用車を利用した場合には、一般的にガソリン代として1キロメートルあたり15円が損害として認められます。
なお、タクシー代については、公共交通機関の利用が困難な場合など、タクシー利用の必要性がある場合に限って認められます。タクシー代を認めてほしい場合、事前に相手保険会社の了解を取りましょう。
3 付添費用
被害者の入院や通院に家族の付き添いが必要な場合、付添費用が認められる可能性があります。
医師の指示の有無、怪我の程度、被害者の年齢などを考慮して判断することになります。簡単に言えば、子どもが一人で病院へ行ける状況だったかどうかで決まります。
4 慰謝料
交通事故の被害に遭った場合に認められる慰謝料には、以下の4種類があります。
ア 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をして病院へ入通院したことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
入通院慰謝料は、治療期間または治療実日数に応じて計算されます。
イ 後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料ですが、後遺障害等級が認定された場合に等級ごとに決まった慰謝料が支払われます。
ウ 死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、交通事故で被害者が死亡したことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
死亡慰謝料は、家族の有無や家族内での立場に応じて金額が変わってきます。
エ 近親者慰謝料
近親者慰謝料とは、親族等が死亡またはこれに比肩するほどの怪我を負ったことによって甚大な精神的苦痛を受けた者が、固有の損害として請求する慰謝料をいいます。
子どもがそのような被害を受けた場合、そのご両親は近親者慰謝料を請求することができる可能性があります。
3 子どもの交通事故での後遺障害
子どもの交通事故でも、後遺障害等級が認定されると上で説明した①後遺障害慰謝料と②逸失利益を請求できます。
1 後遺障害慰謝料
等級ごとに決められた金額が支払われます。弁護士基準では、一番高い1級では2800万円、一番低い14級で110万円が支払われます。
2 逸失利益
逸失利益とは、後遺症により将来得るはずだった収入が減少する分の補償をいいます。
後遺障害が認定されるような重い怪我の場合、その分の労働する際のパフォーマンスが落ちるということを前提に、等級ごとに事故に遭わなかった場合を100とすると何パーセントパフォーマンスが落ちるかという基準で計算していきます。
具体的には以下の式で計算します。
1 基礎収入(事故前の年収)× ②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
具体例として、15歳の男児が交通事故に遭い、後遺障害等級12級の障害を負ったとシミュレーションして、各項目をみていきましょう。
(1)基礎収入
被害者が子どもの場合、まだ稼働していませんので、基本的には、男子の場合男性の、女子の場合男女計の学歴計全年齢平均賃金を基礎収入にして計算をします。
学歴については、本人の事故時の学歴や事故後の学歴によって、学歴別(職業別)の平均賃金を用いることもあります。
令和6年賃金センサス(学歴計)によると、男性の基礎収入は、590万8,100円、女性(男女計)の基礎収入526万9,900円となります。
(2)労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害によりどの程度労働能力が低下したのかを数値化したものです。
労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて定められており、重い等級になるほど労働能力喪失率は高くなります。
なお、後遺障害等級12級の労働能力喪失率は、14%です。
(3)労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
労働能力喪失期間とは、後遺障害により労働能力が制限される期間をいいます。一般的には、症状固定日の年齢から67歳までの年数が労働能力喪失期間になります。
もっとも、将来の減収分に関する損害を一括して受け取ることになります。本来、その収入分を得ることができる日までの期間の運用利益を控除しなければ、その運用利益の分もらいすぎとなってしまいます。
そのため、運用利益分を控除する必要があります。この、労働能力喪失期間に対応する運用利益を控除した係数が、ライプニッツ係数です。
また、15歳の男児が後遺障害を負ったとして、67歳-15歳=52年間の逸失利益を請求したとしても、実際には、18歳から働き出すことを前提とした場合は、18歳-15歳=3年間分の逸失利益はとりすぎとなってしまいます。
そこで、52年間分の逸失利益から3年間の逸失利益を控除する必要があります。そのため、15歳の男児が後遺障害を負った場合の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数は、以下のように計算します。
- 67歳-15歳=52年(対応するライプニッツ係数は26.1105)
- 18歳-15歳=3年(対応するライプニッツ係数2.8286)
- →労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=26.1105 – 2.8286 = 23.2819
以上から、15歳の男児が後遺障害等級12級の障害を負った場合の逸失利益は、以下の通り算出することができます。
6,293,300円 × 0.14 × 23.2819 = 20,512,853円
となります。
4 その他、後遺障害認定されたときに請求できるもの
その他、請求できるものとしては、以下のようなものが挙げられます。
①将来治療費
症状固定日までの治療費については、交通事故と因果関係のある損害として、加害者に対して請求することができますが、症状固定日以降の治療費については、原則として請求することができません。
しかし、症状固定日以降の治療費であっても、症状の程度、内容、治療の必要性・相当性が認められる場合には例外的に将来にわたる治療費として請求することができます。
将来にわたる治療費を請求できる可能性があるのは以下のケースです。
- 植物状態になってしまった場合
- 治療の継続により症状の悪化を防止する必要性がある場合
- 強い身体的苦痛を軽減するために治療を継続する必要性がある場合
- 将来、手術が行われることがあらかじめ決まっている場合
②介護費用
交通事故により重い後遺障害が生じた場合には、将来にわたって介護が必要になることがあります。そのため、将来にわたって介護が必要であると認められる場合には、介護費用を請求することが可能です。
介護費用として請求できる金額は、近親者による介護であれば平均余命まで日額8000円で計算するのが一般的です。実際はケースによって異なります。
③住宅改修費用
後遺障害により、日常生活に支障が生じるような場合には、いわゆるバリアフリー住宅にすべく住宅を改修することがあります。
このような住宅改修費用についても、後遺障害の程度、内容、改修工事の必要性・相当性などを考慮して、損害として認められることがあります。
子どもの交通事故でお悩みなら弁護士へご相談を
以上お子様の交通事故について説明してきました。
大事なお子様の事故であるからこそ、心配や悩みは尽きないのではないでしょうか。
お子様の怪我の程度が重ければ重いほど、交通事故に注力する弁護士に交渉を依頼することが肝要と言えます。
あとから「知らなかった・・・」とならないために、まずは専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
ぜひ島・鈴木法律事務所の初回無料相談をご利用ください。
交通事故を多数扱ってきた経験とノウハウから、事案ごとに適切なアドバイスをさせていただきます。
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