むちうちの症状の伝え方 日記を書いた方がよい?弁護士が徹底解説
1.むちうちの症状を医師に正確に伝えるべき最大の理由
交通事故で最も多いケガの一つである「むちうち(頸椎捻挫・外傷性頸部症候群)」は、骨折や目に見える外傷と異なり、レントゲンやCT、MRIといった画像検査をしても異常が見つからないケースが非常に多いという厄介な特徴を持っています。
そのため、首の痛み、肩の張り、腕や手足のしびれ、頭痛、めまい、吐き気といった自覚症状が存在していても、あなたが自らの口で主治医にしっかりと伝えなければ、カルテには「異常なし」として記録されてしまいます。
もしカルテに症状が記録されていなければ、加害者側の保険会社から「本当は痛くないのに通院している(慰謝料稼ぎの嘘だ)」「もう治っているから治療費は打ち切る」と疑われ、理不尽に治療を打ち切られるリスクが跳ね上がります。
また、治療を続けても痛みが残ってしまった場合、適正な「後遺障害等級(例えば14級9号など)」の認定を受けて十分な慰謝料を獲得するためには、事故直後からの「一貫した自覚症状のカルテ記録」が最も重要で強力な証拠となります。
2.診察時のNG行動と「端的に、嘘偽りなく」伝えるコツ
診察室では、時間が限られているため、焦ってしまい症状をうまく伝えられない被害者の方がたくさんいらっしゃいます。
ここで注意すべきなのは、症状を誇張したり、「雨の日だけ痛い」「重いものを持った時だけしびれる」といった「限定的な伝え方」をしてしまうことです。
自賠責保険の後遺障害認定において、神経症状(痛みやしびれ)が認定されるためには「常に(常時)症状が存在していること」が重要な要件となります。
そのため、「ペットボトルを持つ時だけしびれます」と伝えてしまうと、審査機関からは「それ以外の時間はしびれがない(常時ではない)」と解釈されてしまい、等級認定において圧倒的に不利になってしまいます。
症状があるのなら、特定の動作に限定せず「右手にしびれがあります」「首が常に痛みます」と、端的にかつ明確に伝えることが重要です。
もちろん、痛みが全くないのに「痛い」と嘘をつく(詐病)のは絶対にやってはいけません。
しかし、「治療のおかげでだいぶ良くなったけれど、まだ違和感や軽いしびれが残っている」という状態であれば、遠慮せずに「まだ症状が残っています」とハッキリ伝えることが、カルテに記録を残し続けるための鉄則です。
3.むちうちの「症状日誌」を書くべき理由とメリット
痛みやしびれには波があり、日によって強くなったり弱くなったりするため、いざ診察室に入ると「先週どう痛かったか」を正確に思い出せないことがよくあります。
そこで弁護士が強く推奨しているのが、日々の症状や日常生活での支障を記録する「症状日誌」を作成することです。
症状日誌をつけておくことで、診察の際に医師へ漏れなく正確に症状の経過を伝えることができるようになり、カルテの記載がより充実したものになります。
また、万が一後遺障害の申請で「非該当」という不当な結果が出てしまい「異議申立て(再審査の請求)」を行う際、症状の一貫性や日常生活への深刻な影響(家事や仕事にどう支障が出ているか)を裏付けるための有効な補助資料として活躍することがあります。
ただし、症状日誌はあくまで「補助資料」であり、これがあるだけで後遺障害が認定されるわけではないため、日誌を書くこと以上に「医師の診察を定期的に受けること」が最優先である点は忘れないでください。
4.証拠として役立つ「症状日誌」の正しい書き方
症状日誌は、毎日長文のポエムや愚痴を書く必要は全くありません。
客観的な事実を中心に、1日1〜3分程度で簡潔に記録することが、信用される日誌を作るコツです。
具体的には、以下の項目をノートやスマホのメモ帳に残しておきましょう。
・日付と記録した時間
・痛みの部位と強さ(「首の右側に10段階中5の痛み」「左腕全体にしびれ」など)
・通院や服薬の有無(「整形外科を受診」「痛み止めを飲んで少し和らいだ」など)
・仕事への影響(「首が痛くて2時間早退した」「重い荷物を持てず同僚に代わってもらった」など)
・家事や生活への影響(「上を向いて洗濯物が干せない」「痛くて夜中に何度も目が覚めた」など)
もし体調不良や忙しさで毎日書けなかったとしても、無理に過去を遡って嘘の記録をでっち上げるのは逆効果です。
空白ができても構わないので、通院した日や症状に大きな変化があった日を中心に、正直な記録を残し続けることが大切です。
5.保険会社に「嘘・大げさ」と疑われないための対策
むちうちの治療中、保険会社は「事故の衝撃(車のへこみ)が小さい」「初診までに1週間以上空いている」「整骨院にしか通っていない」「毎日欠かさず整骨院に通い詰めている」といった要素があると、すぐに「慰謝料目当ての嘘だ」と疑ってきます。
このような理不尽な疑いを晴らし、正当な治療費や慰謝料を受け取るためには、以下の対策を必ず守ってください。
①事故後、遅くとも翌日には必ず「整形外科(医師)」を受診すること。
②整骨院に通いたい場合は、必ず整形外科の医師に相談し「許可・同意」を得てから通うこと(整骨院だけに通い続けるのは絶対にNGです)。
③整形外科には最低でも月に数回は通院し、定期的に医師の診察を受け続けること。
④医師に自覚症状を伝えるだけでなく、ジャクソンテストやスパーリングテストなどの「神経学的検査」や、必要に応じてMRI検査を実施してもらうよう依頼し、痛みの原因を医学的に証明する努力をすること。
6.医師とうまく連携できない、保険会社の対応に疲れたら
「主治医が自分の痛みを理解してくれない」「保険会社の担当者から『もう治っているはずだ』と高圧的な電話がかかってきて精神的に限界だ」と悩んでいる被害者の方は数多くいらっしゃいます。
そのような状態で一人で戦い続けると、治療半ばで強引に打ち切られたり、適切な後遺障害診断書を書いてもらえなかったりして、最終的な慰謝料で大きく損をしてしまう可能性が高くなります。
少しでも不安を感じたら、治療中の段階から、交通事故問題に精通した弁護士に相談することを強くおすすめします。
弁護士が代理人になれば、理不尽な保険会社とのやり取り(電話対応)をすべて弁護士が引き受けてくれるため、被害者はストレスなく治療に専念できるようになります。
また、医師へ症状をどう伝えるべきか、後遺障害診断書に何を書いてもらうべきかといった専門的なアドバイスを受けられるため、適正な後遺障害等級を獲得できる確率が飛躍的にアップします。
さらに、ご自身が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、多くの場合、実質的な自己負担なしで弁護士に依頼することができます。
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