未成年者が交通事故の加害者であるときの対処法 弁護士が徹底解説
1.はじめに:加害者が未成年の場合、泣き寝入りになるのか?
交通事故の被害に遭い、相手が未成年(高校生など)だった場合、「未成年には支払い能力がないから、修理代や治療費を払ってもらえないのではないか」「親は『子どもがやったことだから関係ない』と逃げるのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。
確かに、未成年者は自分自身で十分な収入や財産を持っていないことが多く、成人の加害者と同じようにスムーズに賠償金(示談金)が支払われないリスクがあります。
しかし、加害者が未成年だからといって、被害者が泣き寝入りしなければならないわけではありません。
事故の状況や保険の加入状況、そして親の関与の度合いによっては、未成年者本人だけでなく、親や車の所有者、あるいは保険会社に対して適切に損害賠償を請求することが十分に可能です。
本記事では、相手が未成年の交通事故において、誰に、どのように賠償を請求すべきか、また親に責任を問えるケースとはどのような場合かについて、弁護士の視点から徹底的に解説します。
2.事故直後に被害者が取るべき「4つの初動対応」
加害者が未成年の場合、初動対応を誤ると後々の賠償請求が極めて困難になることがあります。
以下の4点は必ずその場で実行してください。
① 警察への通報(人身事故の届け出)
未成年者は「親や学校にバレたくない」「警察を呼ばないでほしい」と懇願してくることがありますが、絶対に応じてはいけません。
警察の「交通事故証明書」がなければ、後日保険会社に賠償を請求できなくなります。少しでもケガがあれば必ず「人身事故」として届け出てください。
② 親の連絡先の確認
未成年者は法律行為(示談など)を単独で有効に行うことができません。
現場では、本人だけでなく「親(保護者)の氏名・電話番号・住所」を必ず確認してください。
③ その場での示談や口約束は絶対に行わない
「親に内緒で少しずつ払うから」といった口約束や、その場で念書を書かせるような行為は無意味であり、法的に無効となる可能性が高いです。
示談の話し合いは、必ず後日、親や保険会社を交えて行います。
④ 自分の保険会社への連絡
相手が未成年で賠償能力に不安がある場合、ご自身の保険(人身傷害保険や車両保険、弁護士費用特約など)を使う可能性が高くなります。
まずはご自身の保険会社に連絡し、状況を報告しておきましょう。
3.損害賠償の責任は誰が負うのか?(責任能力の壁)
未成年者が事故を起こした場合、民法上「誰に賠償責任があるか」は、その未成年に「責任能力(自分の行為の責任を理解する能力)」があったかどうかで決まります。
① 責任能力がある場合(原則:本人が責任を負う)
実務上、おおむね「12歳前後(小学校卒業程度)」を境に責任能力が認められます。
したがって、原付やバイク、車を運転できる年齢(16歳以上、18歳以上)であれば、原則として未成年者「本人」に責任能力があり、本人が損害賠償義務を負うことになります。
② 責任能力がない場合(親が責任を負う)
例えば、小学生が自転車で事故を起こした場合などは責任能力がないと判断されやすく、その場合は民法714条に基づき、監督義務者である「親」が代わりに賠償責任を負います。
4.加害者が「16歳以上の高校生(責任能力あり)」の場合、親に請求できるか?
ここが最も問題になるケースです。
加害者が高校生などで「責任能力がある」と判断された場合、原則として親は民法714条(監督義務者の責任)を負いません。
つまり、「子どもに責任能力があるのだから、親である自分には賠償する義務はない」と親から突っぱねられる可能性があるのです。
未成年本人にはお金がないため、このままでは被害者が泣き寝入りになりかねません。
しかし、以下のようなケースでは、例外的に「親」に対して損害賠償を請求することが可能です。
① 親に「運行供用者責任」が認められるケース
事故を起こした車やバイクが「親の名義(所有)」であった場合、親は自動車損害賠償保障法(自賠法3条)に基づく「運行供用者」として、被害者のケガ(人身損害)に対する賠償責任を負います。
車検代やガソリン代、保険料などを親が負担していた場合も同様です。
② 親自身に「不法行為責任(監督義務違反)」が認められるケース
未成年に責任能力があっても、親自身の監督が著しく不十分だった結果として事故が起きた場合、民法709条に基づき親に直接賠償を請求できます。
例えば、以下のようなケースです。
・親が同乗していながら危険運転を止めなかった(現認型)
・過去に何度も無免許運転や暴走行為を繰り返していたのに、車のキーを隠さずに放置していた(前歴・放置型)
・飲酒していることや過労状態であることを知りながら運転を許した(体調不良等現認型)
5.未成年加害者から賠償金を回収するための「具体的な請求先」
未成年に支払い能力がなく、親にも責任が問えないような最悪のケースでも、以下の順序で回収手段を検討します。
① 任意保険会社・自賠責保険への請求
加害者(親が契約者の場合も含む)が任意保険に加入していれば、その保険会社に請求します。
任意保険がない場合でも、車やバイクであれば強制保険である「自賠責保険」に対して被害者請求を行い、少なくともケガの治療費や慰謝料(上限120万円など)を回収します。
② 雇用主(アルバイト先)への請求
未成年がピザの配達や運送のアルバイト中などに事故を起こした場合、雇用主である会社に対して「使用者責任(民法715条)」を追及し、会社から賠償を受けることができます。
③ 被害者自身の保険(人身傷害保険・車両保険)の活用
相手が無保険でお金もない場合、ご自身が加入している自動車保険の「人身傷害保険(ケガの補償)」や「車両保険(車の修理)」を使うのが最も確実で迅速な方法です。
④ 政府保障事業の利用
相手が無保険で、かつご自身の保険も使えない場合、最終手段として国が自賠責保険と同等の補償を行う「政府保障事業」を利用して最低限のケガの補償を受けます。
⑤ 将来の給与の差し押さえ(債務名義の取得)
現在はお金がない未成年でも、示談書を「公正証書」にしたり、裁判で判決(債務名義)を得たりしておけば、時効を延長しつつ、将来その未成年が就職して給料を得るようになった段階で、給与を差し押さえて回収することが可能です。
6.弁護士に相談・依頼すべき絶大なメリット
加害者が未成年の場合、「誰に請求できるのか(本人か、親か、会社か)」「親の監督責任をどう立証するか」といった極めて専門的な法的判断が必要になります。
個人で未成年の親と交渉しようとしても、「うちの子は悪くない」「お金がないから払えない」と感情的なトラブルに発展しがちです。
弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。
・多角的な請求先の検討:親の運行供用者責任や監督義務違反の法的根拠を精査し、最も確実に回収できる相手(親や保険会社)を特定し、論理的に請求を組み立てます。
・交渉の完全代行:親との感情的な直接交渉をすべて弁護士が代行するため、被害者の精神的ストレスが激減します。
・将来の回収に向けた確実な書面作成:分割払いになる場合でも、支払いが滞った際にすぐに財産を差し押さえられる「強制執行認諾文言付き公正証書」の作成までサポートします。
7.まとめ:未成年の事故こそ、プロのサポートで確実な回収を
相手が未成年で、かつ任意保険に加入していないような事故は、被害者にとって最も頭の痛い厄介なケースです。
しかし、「未成年だから」「親が払わないと言うから」と諦めてしまう必要はありません。
法律の仕組みを正しく使い、親の責任や各種保険制度を徹底的に洗い出せば、正当な賠償金を回収する道は必ず見つかります。
ただし、その道筋を見つけるには法的な専門知識が不可欠です。
ご自身やご家族の自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば、原則として自己負担ゼロで弁護士に依頼でき、泣き寝入りのリスクを完全に排除することができます。
未成年者との事故で対応に少しでも不安を感じたら、示談や口約束をしてしまう前に、できるだけ早く交通事故に強い弁護士の無料相談を活用し、最適な回収戦略を立ててください。
是非島・鈴木法律事務所初回無料相談をご利用ください。
交通事故問題に関する実績豊富な弁護士が、事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。
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初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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