高齢者の死亡事故について:慰謝料の相場と正当な賠償金を受け取るためのポイントを弁護士が解説  

1.高齢者の死亡事故における慰謝料の考え方

交通事故によって大切なご家族が亡くなられた場合、残されたご遺族は深い悲しみの中で加害者側の保険会社との対応を迫られます。

特に、被害者が65歳以上や80代、90代といった高齢者の場合、ご遺族から「高齢だから慰謝料や賠償金が安くなるのではないか」「年金生活だったから逸失利益は認められないのか」といった相談が多く寄せられます。

結論から言うと、交通事故の死亡慰謝料において「高齢だから」という理由だけで金額が低くなることは決してありません。

人の生命を奪われたことに対する精神的苦痛は年齢に関係ないとされているからです。

しかし、保険会社は支払う賠償金を抑えるために、知識のないご遺族に対して不当に低い金額を提示してくることが一般的です。

高齢者の死亡事故であっても、法的に適正な主張を行えば、2000万円から数千万円規模の損害賠償が認められるケースは多々あります。

本記事では、高齢者の死亡事故における慰謝料の相場や逸失利益の計算方法、そして適正な賠償金を受け取るための対処法について解説します。

 

2.死亡事故で請求できる損害賠償の4つの内訳

交通事故で被害者が亡くなった場合、ご遺族(相続人)が加害者側に請求できる主な損害賠償項目は以下の4つに分類されます。

①治療関係費・休業損害

事故に遭ってから亡くなるまでに入院や治療を行っていた場合、その間の治療費、入院費、付添看護費、通院交通費、休業損害などが請求できます。

②葬儀関係費

葬儀そのものの費用です。弁護士(裁判所)基準では原則として150万円を上限として認められます。

保険会社は100万円〜120万円程度の低い金額を提示してくることが多いですが、実際にかかった費用が150万円以上であれば、150万円までは認められるのが通常です。

③死亡慰謝料

亡くなった被害者本人の無念や精神的苦痛に対する「本人分の慰謝料」と、家族を失った遺族自身の精神的苦痛に対する「近親者固有の慰謝料」の2つが含まれます。

④死亡逸失利益

被害者が交通事故で亡くならなければ、将来得られたはずだった収入(経済的利益)に対する補償です。

 

3.死亡慰謝料の相場を決める「3つの基準」

慰謝料の計算には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士(裁判)基準」という3つの基準があり、どの基準を用いるかで金額が大きく変わります。

 

①自賠責基準

国が定めた最低限の補償基準です。被害者本人の死亡慰謝料は一律400万円で、そこに近親者(配偶者、父母、子)の人数に応じて550万円〜750万円(被扶養者がいる場合は+200万円)が加算されます。

②任意保険基準

各保険会社が独自に定めている非公開の基準です。自賠責基準よりは少し高いですが、次に述べる弁護士基準よりは大幅に低く設定されています。

③弁護士(裁判)基準

過去の裁判例をもとに設定された、法的に正当とされる基準です。3つの基準の中で最も高額になり、弁護士が介入した場合はこの基準での解決を目指します。

 

4.高齢者の死亡慰謝料の相場(弁護士基準)

弁護士基準における死亡慰謝料は、年齢ではなく「家庭内での役割・立場」によって相場が決まっています。

・一家の支柱(家庭の経済的・精神的な支えとなっている人):2800万円

・母親、配偶者:2500万円

・その他(高齢者、独身者、子どもなど):2000万円〜2500万円

80代や90代で仕事をリタイアされている方の多くは「その他」に分類されるため、2000万円〜2200万円程度になる傾向があります。

しかし、例えば高齢の男性が自身の年金で配偶者を養っていた場合など、「一家の支柱」に準ずると認められれば、2500万円以上の高い慰謝料を主張できる余地もあります。

 

5.高齢者でも「死亡逸失利益」は請求できる

高齢者の場合、任意保険会社から「高齢で働いていないので逸失利益はありません(ゼロです)」と言われることがありますが、これを鵜呑みにしてはいけません。

以下のケースでは、高齢者であっても逸失利益を請求できます。

①無職で年金を受給していた場合

老齢年金や障害年金などは「継続的な収入」とみなされ、受給していた年金額を基礎収入として逸失利益を請求できます(遺族年金などは対象外です)。

②給与収入がある場合(現役で働いている場合)

自営業やパート、会社の役員などで働いていた場合、その給与収入が基礎収入となります。働きながら年金を受給していた場合は、給与と年金を合算して請求することも可能です。

③家事従事者(主婦・主夫)の場合

配偶者や家族のために家事労働を行っていた場合、専業主婦(主夫)としての逸失利益が認められます。

厚生労働省が発表する「賃金センサス(全年齢の女性労働者の平均賃金等)」を参考に基礎収入を算出するため、「収入ゼロ」として扱われることはありません。

 

6.高齢者の逸失利益の計算方法と特有の事情

死亡逸失利益は「基礎収入 × 1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対するライプニッツ係数」という式で計算されます。

高齢者の場合、以下の点で特有の事情が考慮されます。

・生活費控除率の調整

生きていればかかったはずの生活費を差し引く割合です。年金生活者の場合、収入に対する生活費の割合が高いとみなされ、控除率が50%60%と高めに設定される傾向があります。

・就労可能年数(ライプニッツ係数)

通常の就労可能年数は67歳までとされますが、すでに67歳を超えている高齢者の場合は、「平均余命の2分の1」程度の期間が対象期間として計算されるのが一般的です。

 

7.弁護士に依頼するメリットと弁護士費用特約の活用

高齢者の死亡事故では、保険会社から「高齢であること」「無職であること」を理由に、慰謝料や逸失利益を不当に低く見積もられがちです。

正当な賠償金を受け取るためには、交通事故の解決実績が豊富な弁護士に依頼することが不可欠です。

弁護士が介入することで、保険会社基準から「弁護士(裁判)基準」へと引き上げられ、慰謝料や賠償金が数千万円単位で大幅に増額するケースが多々あります。

また、主婦としての家事労働の立証や、適正な過失割合の交渉、事故と死亡の因果関係の証明など、専門的な知識を持った弁護士が遺族に代わって強力にサポートします。

「弁護士費用が高額になるのでは」と不安な方は、ご自身やご家族の自動車保険・火災保険などに付帯している「弁護士費用特約」を確認してください。

特約を使えば、通常300万円まで弁護士費用が保険から支払われるため、自己負担なしで依頼できるケースがほとんどです。

ご家族を失った深い悲しみの中で、不当に低い示談金で泣き寝入りすることのないよう、まずは交通事故に強い弁護士の無料相談を活用されることを強くお勧めします。

是非島・鈴木法律事務所初回無料相談をご利用ください。

交通事故を多数扱ってきた経験とノウハウから、事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。

 

 

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島武広島・鈴木法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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