交通事故のむちうちで必要とされる画像などの検査とテスト
1. はじめに:交通事故におけるむちうちとは
交通事故、特に追突事故などにおいて、強い衝撃により首がムチのように激しくしなり、首の筋肉や靭帯、椎間板などの軟部組織や神経が損傷する状態を一般に「むちうち」と呼びます。
正式な傷病名としては「頸椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」などと診断されます。
事故の直後は興奮状態にあるため痛みを感じにくく、数日経ってから首や肩の痛み、頭痛、めまい、手足のしびれなどの症状が現れることが多いのが特徴です。
むちうちは外傷がないため軽く見られがちですが、適切な検査や治療を受けなければ後遺症として一生痛みが残ってしまうこともあり、適正な賠償を受けるためにも正しい診断と証拠(検査結果)の確保が極めて重要になります。
2. なぜレントゲンだけでなくMRI検査が必要なのか
交通事故に遭って病院(整形外科)を受診すると、まず行われるのがレントゲン(X線)検査です。しかし、むちうちの症状の原因を特定するためには、レントゲンだけでは不十分なケースが多々あります。
・レントゲン検査の限界
レントゲン検査は、主に「骨」の異常(骨折や脱臼など)を確認するためのものです。
しかし、むちうちの痛みの原因となる筋肉、靭帯、神経、椎間板(骨と骨の間にあるクッション)の異常は、レントゲン画像には写りません。そのため、実際には強い痛みやしびれがあっても、レントゲン上は「異常なし」と診断されてしまうことがよくあります。
・MRI検査の重要性
筋肉や神経、椎間板など、水分を多く含む軟部組織の状態を正確に確認するためには、MRI検査(核磁気共鳴画像法)が必須となります。手先のしびれや感覚異常がある場合、頸椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されている可能性があります。
MRIを撮影することで、こうした神経の圧迫や組織の損傷を客観的な画像として捉えることができます。
後遺障害の等級認定(特に12級13号)を目指す場合、このMRIによる画像所見(他覚的所見)があるかどうかが非常に大きなポイントとなります。
3. むちうちを証明するための「神経学的検査・テスト」
むちうちによる痛みやしびれが神経の損傷に由来するものであることを医学的に裏付けるためには、画像検査に加えて「神経学的検査」を受けることが重要です。
代表的なテストには以下のようなものがあります。
・ジャクソンテストとスパーリングテスト
どちらも頸部(首)の神経根障害を調べるテストです。ジャクソンテストは頭を後ろに反らせて圧迫し、スパーリングテストは頭を斜め後ろに傾けて圧迫します。
このとき、首から肩、腕、手にかけて痛みやしびれが走る(放散痛)ようであれば「陽性」となります。
患者の自覚症状に基づくテストではありますが、神経症状の存在を示す重要な所見となります。
・深部腱反射テスト
ゴム製のハンマーで特定の腱(上腕二頭筋、上腕三頭筋、膝蓋腱、アキレス腱など)を叩き、筋肉が反射的に収縮するかどうかを見るテストです。
神経根や末梢神経に異常がある場合、この反射が「低下」または「消失」します。
このテストは患者自身の意思で結果をコントロールすることができないため、客観性が高く、後遺障害認定において非常に重視される検査です。
・徒手筋力検査(MMT)と筋萎縮検査
徒手筋力検査は、医師が手で抵抗を加えながら患者の筋力低下の程度を測るものです。
また、神経の麻痺により筋肉が細くなっていないかを確認するため、左右の腕や脚の太さ(周径)をメジャーで計測する筋萎縮検査も行われます。
・筋電図検査
筋肉の活動を電気的に記録し、筋力低下の原因が神経疾患によるものか筋肉の異常によるものかを判別する専門的な検査です。
4. むちうちで認定される後遺障害等級とは
むちうちの治療を半年以上継続しても痛みやしびれが残ってしまった(症状固定)場合、後遺障害等級の認定を申請することができます。むちうちで認定される可能性のある等級は主に以下の2つです。
・後遺障害12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
残存している症状が、MRIなどの画像所見および深部腱反射テストなどの神経学的検査によって「医学的に証明できる」場合に認定されます。賠償金(慰謝料や逸失利益)の額は大きくなります。
・後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)
画像所見などで明確な異常が確認できなくても、事故の規模、治療の経過、症状の一貫性などから、その症状が存在することが「医学的に説明可能」である場合に認定されます。
5. 適切な賠償金を受け取るための通院と対応のポイント
交通事故の被害に遭った後、適切な治療費や慰謝料、後遺障害の賠償を受け取るためには、事故直後からの行動が重要になります。
・事故直後に必ず「整形外科」を受診する
少しでも痛みや違和感があれば、数日放置せず、すぐに医師のいる整形外科を受診してください。
受診が遅れると「事故とケガとの因果関係がない」と保険会社から疑われる原因になります。
・適切な頻度で継続して通院する
痛みを我慢して通院を怠ると、「すでに治っている」「軽傷である」とみなされ、早期に治療費を打ち切られたり、後遺障害が認定されなくなったりします。
医師の指示に従い、定期的に通院することが大切です。また、整骨院や接骨院に通う場合は、自己判断で行かず、必ず事前に整形外科の医師の許可を得るようにしてください。
・自覚症状を医師に正確に伝え、カルテに残してもらう
痛みやしびれなどの症状を、事故当初から一貫して医師に伝え続けることが重要です。
後遺障害の審査では「症状が事故直後から一貫しているか」が問われます。
・後遺障害診断書を適切に作成してもらう
治療が終了(症状固定)した際には、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。
ここに、これまで受けた画像検査や神経学的検査の異常所見、具体的な自覚症状が正確に記載されていることが、等級認定の要となります。
6. まとめ:不安な場合は弁護士への相談を
むちうちは「目に見えないケガ」であるため、加害者側の保険会社から軽視されやすく、治療費の早期打ち切りや不当に低い慰謝料を提示されることがよくあります。
客観的に症状を証明するためのMRI検査や神経学的テストをしっかりと受け、カルテや診断書に証拠を残すことが、自分の身と権利を守る唯一の手段です。
しかし、医師が十分な検査をしてくれない場合や、保険会社との交渉で疲弊してしまう場合もあります。
そのような時は、交通事故や後遺障害認定に精通した弁護士に早い段階で相談することをお勧めします。
弁護士が介入することで、必要な検査のアドバイスを受けられるだけでなく、煩わしい保険会社との交渉を任せることができ、最終的な慰謝料の金額が「弁護士基準(裁判基準)」で計算されるため、大幅な増額が期待できます。
むちうちでお悩みでしたら是非、島・鈴木法律事務所の初回無料相談をご利用ください。
交通事故を多数扱ってきた経験とノウハウから、事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。
運営者情報
- 島・鈴木法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
-
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
弁護士紹介はこちら
最新の投稿
- 2026.06.03交通事故の過失割合に納得がいかないとき弁護士に依頼すると変わるのか
- 2026.06.03交通事故むちうちで後から痛みが出てきたときにやるべきことと注意点
- 2026.06.03交通事故過失割合、雨天・凍結・視界不良などの悪天候が与える影響
- 2026.06.03交通事故むちうちについての治療とリハビリの注意点
横須賀での交通事故にお悩みの方は
今すぐご相談ください
-
提示された示談金が
低すぎる -
適切な後遺障害等級の
認定を受けたい -
保険会社の対応に
不満がある -
過失割合に
納得がいかない -
治療費の打ち切りを
宣告された -
どのように弁護士を選んだら
いいのか分からない -
追突事故
-
バイク事故
-
死亡事故















