交通事故で腕や肘が事故前のように動かなくなってしまった方へ

交通事故によって肩、肘、手首の関節の動きに制限が出ることを、上肢(じょうし)機能障害といいます。

上肢機能障害が後遺障害と認定されると、後遺傷害慰謝料や逸失利益などを請求でき、米少額が高額となります。

ここでは上肢機能障害について説明していきます。

 

上肢(腕)の機能障害とは、肩、肘、手首関節の可動域が制限され、動きが悪くなることによる障害をいいます。

上肢機能障害で認定される後遺障害とは?

腕の関節障害(上肢機能障害)が後遺障害と認定されると、事故の相手方(加害者)に対して後遺症慰謝料や逸失利益(=障害によって得られなくなった将来の収入)を請求できるようになります。

そこでまず、後遺障害等級認定について説明します。

 

上肢機能障害のうち、上肢3大関節(肩関節・肘関節・手関節)に関して認定される可能性のある後遺障害等級は、以下のとおりです。

 

1級4号 両上肢の用を全廃したもの
5級6号  1上肢の用を全廃したもの
6級6号  1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号  1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

 

となります。

以下それぞれについて述べていきます。

① 1級4号 両上肢の用を全廃したもの

「上肢の用を全廃したもの」とは、上肢の3大関節(肩関節・肘関節・手関節)のすべてが強直(関節が完全に動かない、またはそれに近い状態)し、かつ、手指の全部の用を廃したもの(手指の末節骨の半分以上を失い、または中手指節関節もしくは近位指節間関節(親指では指節間関節)に著しい運動障害の残すもの)をいいます。

 

つまり、「両上肢の用を全廃したもの」とは、左右両腕について、3大関節のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃した状態をいいます。

② 5級6号 1上肢の用を全廃したもの

「1上肢の用を全廃したもの」とは、右腕または左腕のいずれか一方において、3大関節のすべてが強直し、かつ、手指の全部の用を廃した状態をいいます。

③ 6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

「関節の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

 

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺(体を動かそうとしても筋肉を動かせず、常にだらんとした状態)またはこれに近い状態(外から力を加えると動くものの、自力では関節の可動域が健側(=正常な側)の可動域角度の10%程度以下となったもの)にあるもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

 

つまり、左右いずれかの腕の3大関節中、2関節において

 

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分
の1以下に制限されているもの

 

のいずれかにあたると、6級6号に該当することになります。

④ 8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

左右いずれかの腕の3大関節中、1関節において

 

ア 関節が強直したもの
イ 関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
ウ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの

 

のいずれかにあたると、8級6号に該当することになります。

⑤ 10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、次のいずれかの状態をいいます。

 

ア 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されているもの、または
イ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されていないもの

 

したがって、左右いずれかの腕の3大関節中、1関節において

 

ア 関節の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されている、または
イ 人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されていないもの

 

のいずれかにあたると、10級10号に該当することになります。

⑥ 12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものをいいます。

したがって、左右いずれかの腕の3大関節中、1関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものが12級6号に該当することになります。

 

以上のように上肢の機能障害は、可動域が非常に重要になっています。

 

しかしながら、整形外科の医師に後遺障害診断書を作成してもらうと上肢の怪我で実際可動域が狭まっているのに、計測すらしない場合もあります。

何も知らずご自身で「医師が書いているから間違いないだろう」と思って相手方保険会社担当者に送ってしまうと取り返しのつかないこととなります

 

想定される後遺障害等級を理解した上、そのために必要な記載を書いてもらうことが非常に重要です。医師の治療行為と自賠責保険後遺障害等級認定に必要なものは必ずしも一致していません。そのことを頭に入れておいて下さい。

 

関節の機能障害の検査は、関節の可動域を測定し、健側(=正常な側)の可動域または参考可動域の角度と比較することによって評価します。測定値は、5度単位の切り上げで記載します。

原則として他動運動(=医師が外部から力を加えて動かす)により測定しますが、他動運動による測定が適切でないものについては、自動運動(=自力で動かす)による測定値を参考にします。

 

後遺症慰謝料の金額(相場)を決める基準には、次の3つがあります。

 

自賠責基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、必要最低限の賠償基準
任意保険基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
裁判所基準……弁護士が、加害者との示談交渉や裁判の際に用いる賠償基準

どの基準を用いるかによって慰謝料の額が変わります。
3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般に、

 

裁判所基準>任意保険基準>自賠責基準

 

となります。
上肢3大関節の機能障害が後遺障害と認定された場合の後遺症慰謝料(相場)を、自賠責基準と裁判所基準で比べてみると、下の表のようになります。

 

等級    自賠責基準   裁判所基準
1級4号   1150万円   2800万円
5級6号   618万円   1400万円
6級6号   512万円     1180万円
8級6号   331万円     830万円
10級10号 190万円         550万円
12級6号  94万円        290万円

 

裁判所基準が高額になっていることが明白だと思います。

 

この裁判所の基準を適用してもらうには、弁護士をつける他ありません。

 

要は、弁護士がつけば、交渉がまとまらないと訴訟提起されてしまう。訴訟提起されると裁判所は裁判所基準で金額を決める。それなら今のうちに裁判所基準で交渉した方が良い、という発想によります

 

ですので、皆さんご自身が「裁判所の基準で」といっても、そうはしてくれません。相手方保険会社担当者は、皆さんご自身がしっかりとした訴訟対応するとは考えていませんので。

 

上の金額を見ても分かるとおり、弁護士をつけるだけで一気に金額が上がりますので、後遺障害等級が認められているなら弁護士に依頼すべきであり、弁護士費用特約が利用できるなら今すぐ法律事務所を周り一番信頼出来る弁護士に依頼すべきでしょう。

 

交通事故による腕の関節障害(上肢機能障害)が後遺障害として認定されると、加害者に対して逸失利益も請求することができます。

 

逸失利益とは、後遺障害によって得られなくなった将来の利益のことをいいます。

 

逸失利益の金額は、

基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数という計算式で算出します。

 

「基礎収入」は、原則として事故発生前の収入の金額が採用されます。

「労働能力喪失率」とは、後遺障害により労働能力がどれだけ失われたのか、その割合をいいます。後遺障害等級ごとに目安が定められており、上肢の3大関節の機能障害(1~12級)の場合は次のとおりです。

 

【労働能力喪失率】
1級 5級 6級 8級 10級 12級
100% 79% 67% 45% 27% 14%
となっています。

 

「ライプニッツ係数」とは、被害者が将来得られたはずの利益を前もって受け取ったことで得られた利益(利息など)を控除するための数値です。

 

逸失利益の計算についても、特に労働能力喪失期間について加害者側と争いになることが多くなります。
その際も、弁護士に依頼すれば法律的な観点から妥当な労働能力喪失期間を算定し、適正な逸失利益額を主張することができます。

 

また、医師により後遺障害診断書を作成してもらう際に気をつけるべきことがあります。

 

① 検査を早めに受ける
期間があくと、本当に交通事故が原因なのか因果関係を疑われてしまいます
上肢機能障害を診断するための検査としては、レントゲンは当然としてCT、MRI検査などがあります。これらの精密検査を、事故後すみやかに受けるようにしましょう。

 

② 後遺障害診断書の内容が肝心
先ほど述べたとおり、医師の中には後遺障害等級を得られるように診断書を作成できない方もいるので注意が必要です。交通事故に注力する弁護士に依頼して、しっかりとした診断書を作成すべきと言えます。

 

③ 上肢機能障害の程度がわかる証拠集め
後遺障害診断書の中に、腕の関節障害(上肢機能障害)により仕事に支障が生じているとの記載があると、後遺障害認定がされやすくなります。

 

もっとも、後遺障害診断書に単に「仕事に支障がある」と記載するだけでは不十分です。

この場合、後遺障害診断書に加えて、経過診断書などの書類を別途用意して、仕事への支障を説明する必要があります。

 

以上上肢の機能障害について述べてきました。

必要な治療・投薬を受け、必要な検査を、必要な時期に受け、必要な後遺障害診断書を作成して、その他必要な証拠を集めて後遺障害申請をしないと、本来認定されるはずの後遺障害等級が認定されず、受け取れたはずの賠償金が著しく低額なものとなってしまいます

 

繰り返しになりますが、弁護士費用特約が利用出来るのであれば、弁護士への依頼をお急ぎ下さい。交通事故に注力している弁護士であれば、弁護士費用を除けば依頼してマイナスとなることはありません。

そして、弁護士費用は弁護士費用特約が負担してくれるのであり、このようなときのために、加入しているのですから。

 

弁護士費用特約が利用出来ないとしても、

 

① 賠償金の金額が上がる
② 後遺障害等級獲得について正当な結果を得られる可能性が上がる
③ 治療中から必要な治療・投薬・検査のアドバイスをしてもらえる
④ 治療機関を長く確保してもらえる
⑤ 相手方保険会社担当者とのやり取りをすべて行ってもらえる

 

など多数のメリットがあります。

 

是非一度当事務所の初回無料相談をご利用され、ご自身の事故について気をつけるべきことやポイントを把握されてはいかがでしょうか。事案に即したアドバイスをさせて頂きます。

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島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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