交通事故でTFCC損傷した場合の後遺障害・慰謝料などを弁護士が徹底解説

1.はじめに:手首の痛み「TFCC損傷」は見過ごされやすい

交通事故でバイクから転倒して手をついた際や、車のハンドルを握ったまま強い衝撃を受けた際などに、手首の小指側に慢性的な痛みが生じることがあります。

手首をひねる動作(ドアノブを回す、雑巾を絞るなど)で痛みが走る、手首が腫れる、あるいは動かすと「カクッ」とクリック音が鳴るといった症状が続く場合、「TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)」の可能性が疑われます。

TFCCとは、手首の小指側にある靭帯や軟骨が合わさったハンモック状の軟部組織であり、手首の動きを安定させ、衝撃を吸収する重要な役割を担っています。

しかし、TFCCは骨ではないため「レントゲンには写らない」という特徴があり、単なる手首の捻挫や打撲として見過ごされ、適切な治療や補償が受けられないケースが多発しています。

本記事では、TFCC損傷の正しい診断方法から、後遺障害として認定されるための必須ポイント、そして慰謝料を弁護士基準で最大限に増額する方法までを徹底的に解説します。

 2.TFCC損傷で認定される可能性のある「後遺障害等級」

TFCC損傷による後遺症が完治せず(症状固定)、手首の痛みや動かしにくさが残った場合、症状の程度に応じて「機能障害(可動域の制限)」または「神経障害(痛み・しびれ)」として後遺障害等級が認定される可能性があります。

 

【機能障害(手首の動きが制限されている場合)】

・10級10号:手首の可動域が、ケガをしていない側(健側)の「2分の1以下」に制限されている場合。

・12級6号:手首の可動域が、健側の「4分の3以下」に制限されている場合。

【神経障害(手首の可動域に制限はないが、痛みが残る場合)】

・12級13号:MRI画像などでTFCCの損傷(他覚的所見)が確認でき、痛みの存在が医学的に「証明」できる場合。

・14級9号:MRI画像に明確な異常が写らなくても、事故の状況や一貫した通院・治療の経過から、痛みの存在が医学的に「説明」できる場合。

 

 

3.慰謝料と逸失利益:等級によって賠償金はいくら変わる?

後遺障害が認定されると、入通院慰謝料(ケガ自体の慰謝料)に加えて、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」を請求できるようになります。

慰謝料の金額には3つの基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)があり、弁護士が交渉に介入する「弁護士基準(裁判基準)」が最も高額になります。

 

【後遺障害慰謝料の相場(自賠責基準 → 弁護士基準)】

・14級:32万円 → 110万円

・12級:94万円 → 290万円

・10級:190万円 → 550万円

 

【後遺障害逸失利益について】

後遺障害によって将来の労働能力が低下し、得られるはずだった収入が減ってしまうことに対する補償です。

計算式:「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」

 

労働能力喪失率は、14級で5%12級で14%10級で27%と定められており、認定される等級によって数百万円から一千万円以上の差が生じることもあります。

 4.TFCC損傷で後遺障害認定を勝ち取るための「4つの重要ポイント」

TFCC損傷は、加齢や仕事での酷使(素因)でも発症するため、保険会社から「事故が原因ではない(素因減額)」と因果関係を否定されやすい傷病です。適切な認定を得るためには、以下のポイントを必ず押さえてください。

 

① 事故直後の「早期MRI検査」と「手の専門医」の受診

レントゲンでは写らないため、事故直後に手首に痛みを感じたら、必ず「MRI検査」を受けてください。事故から数ヶ月経ってからMRIを撮っても、「事故による急性のケガなのか、加齢によるものなのか分からない」と判断され、非該当になる原因となります。また、TFCC損傷の診断や治療(関節鏡手術など)に長けた「手の専門医(手外科)」を受診することが強く推奨されます。

② カルテへの「具体的な症状の記録」と「症状の一貫性」

「いつから、どのように痛むのか」を毎回医師に正確に伝え、カルテに記録してもらうことが不可欠です。事故直後のカルテに手首の痛みの記載がないと、後になって事故との因果関係を証明することが極めて困難になります。

③ 保険会社任せにしない「被害者請求」の利用

後遺障害の申請には、相手の保険会社に任せる「事前認定」と、被害者側で書類を集める「被害者請求」があります。TFCC損傷のような立証が難しいケースでは、医師の意見書や画像鑑定報告書など、認定に有利な追加資料を自ら選んで提出できる「被害者請求」を行うことが必須と言えます。

④ 「素因減額」の主張に対する徹底的な反論

保険会社から「元々腕の骨が長かったからだ」「加齢による変性だ」として賠償金の減額(素因減額)を主張された場合、医学的知見や過去の裁判例に基づいて理論的に反論しなければなりません。

 

5.認定結果が「非該当」だった場合の対処法(異議申立て)

TFCC損傷は、審査機関の理解不足や画像の読み落としにより、初回申請で「非該当」と判断されることが少なくありません。

しかし、非該当になった理由(等級認定結果通知書に記載されています)を正確に分析し、足りなかった医学的根拠を補強して「異議申立て」を行うことで、結果が覆る可能性は十分にあります。

具体的には、手外科専門医による「医師意見書」の取得、新たなMRI撮影、関節造影検査の実施、医療鑑定機関による「画像鑑定報告書」の添付などが極めて有効な対抗策となります。

 

6.まとめ:TFCC損傷の賠償問題は弁護士への相談が必須

TFCC損傷は、診断そのものが難しいうえに、交通事故との因果関係の証明、後遺障害診断書の的確な作成、さらには素因減額への反論など、医学的および法的な高い専門知識が求められる非常に難易度の高い傷病です。

被害者自身が一人でこれらを抱え込み、相手の保険会社と交渉して適正な賠償を勝ち取ることはほぼ不可能です。

治療の早い段階から交通事故や医療に精通した弁護士に相談し、必要な検査や医師への伝え方についてアドバイスを受けることが、後悔しない解決への唯一の道です。

また、ご自身の自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、費用の自己負担なしで弁護士にすべてを任せることができます。

手首の痛みが引かずにお悩みの方は、示談書にサインをしてしまう前に、どうぞお早めに専門の弁護士にご相談ください。あなたの正当な権利を守るために全力でサポートいたします。

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交通事故を専門とする弁護士として事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。

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島武広島・鈴木法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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