むちうちで後遺障害等級を取るポイント 弁護士が徹底解説

1.むちうちで後遺障害等級を取るのはなぜ難しいのか

交通事故に遭い、車に追突された衝撃で首や腰を痛める「むちうち(頸椎捻挫・外傷性頸部症候群)」は、非常に多くの方が苦しむケガです。

治療を数ヶ月続けても痛みやしびれが残ってしまった場合、自賠責保険に「後遺障害」として認定されることで、後遺障害慰謝料や逸失利益といった高額な賠償金を請求できるようになります。

しかし、むちうちは骨折などの目に見えるケガとは異なり、レントゲンやMRIを撮っても異常がはっきりと写らない(他覚的所見がない)ことが多く、「本当に痛いのか」「ただの気のせいではないか」と疑われやすいため、後遺障害として認定される難易度が非常に高いと言われています。

実際に、むちうちで後遺障害の申請をして認定される確率は約5%程度に留まるとも言われており、何の対策もせずにただ申請するだけでは「非該当(後遺障害には当たらない)」という結果になってしまうことがほとんどです。

 

2.むちうちで認定される可能性がある「2つの等級」

むちうちで後遺障害が認定される場合、主に「14級9号」か「12級13号」のいずれかになります。

 

・14級9号(局部に神経症状を残すもの)

画像検査で異常が写っていなくても、事故の規模や通院頻度、症状の一貫性などから「医学的に説明がつく」と判断された場合に認定されます。むちうちで認定されるケースの大部分がこの14級です。

 

・12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)

MRI画像でヘルニアなどの神経圧迫が明確に確認でき、かつ神経学的検査でも異常が出ているなど、症状が客観的に「証明」できる場合に認定されます。ハードルは非常に高いですが、認定されれば14級よりもはるかに高額な賠償金を受け取ることができます。

 

3.後遺障害を勝ち取るための「5つの絶対条件」

むちうちで後遺障害等級(特に14級)を獲得するためには、以下の5つのポイントをすべてクリアしている必要があります。

 

① 事故の衝撃がそれなりに大きかったこと

車にほんの少し擦り傷がついた程度の極めて軽微な事故では、「ケガをするほどの衝撃ではない」と判断され、後遺障害は否定されやすくなります(修理費が20〜30万円以下だと厳しい傾向があります)。

 

② 事故直後から適切な頻度で通院を続けていること

「痛かったけど仕事が忙しくて最初は病院に行かなかった」「月に1回しか通院していない」という場合、症状が軽いとみなされてしまいます。事故直後から症状固定まで、最低でも週に2〜3回程度は整形外科に通院し続ける通院実績が極めて重要です(整骨院だけに通うのはNGです)。

 

③ 症状が「常時」あり、「一貫」していること

「雨の日だけ痛い」といった一時的な症状では認定されません。また、事故当初は「首が痛い」と言っていたのに、3ヶ月経ってから突然「腰も痛い」と言い出すなど、症状に一貫性がないと因果関係が疑われます。初診時からすべての痛みを医師に伝え、カルテに記録してもらうことが鉄則です。

 

④ 症状を客観的に示すための「神経学的検査」を受けていること

画像に異常がなくても、医師に「ジャクソンテスト」や「スパーリングテスト」「腱反射テスト」といった神経学的検査を行ってもらい、その結果を後遺障害診断書に記載してもらうことで、痛みの存在を医学的に裏付けることができます。

 

⑤ MRI検査を「早期に」受けていること

レントゲンには骨しか写らないため、神経の圧迫を確認するためにはMRI検査が必須です。事故から時間が経ってから撮ると「加齢による変性(元からあったもの)」と判断されやすくなるため、事故後なるべく早い段階で、より精度の高いMRIで撮影してもらうことが重要です。

 

4.運命を分ける「後遺障害診断書」の書き方

症状固定(これ以上治療しても改善しない状態)となった後、医師に「後遺障害診断書」を書いてもらいますが、この診断書の内容が認定結果を大きく左右します。

医師はケガを治療するプロですが、後遺障害の審査を通すためのプロではありません。

自覚症状の欄に「軽減している」と書かれてしまったり、必要な神経学的検査の結果が漏れていたりすると、それだけで非該当になる確率が跳ね上がります。

痛みの種類、頻度、仕事や日常生活への具体的な支障などを、漏れなく正確に記載してもらうよう、医師としっかりとコミュニケーションを取ることが不可欠です。

 

5.保険会社任せ(事前認定)は危険!「被害者請求」を選ぼう

後遺障害の申請方法には、加害者側の保険会社に手続きを丸投げする「事前認定」と、被害者自身が必要書類を集めて直接申請する「被害者請求」の2種類があります。

事前認定は手間がかからない反面、保険会社が必要最低限の書類しか提出しないため、被害者にとって有利な材料が審査機関に伝わらないリスクがあります。

少しでも認定確率を上げたいのであれば、手間はかかりますが、自分に有利な証拠(事故の状況を示す写真や、日々の痛みを記録したメモなど)を自由に追加して提出できる「被害者請求」の手続きを選ぶべきです。

 

6.交通事故に強い弁護士に依頼する絶大なメリット

むちうちの後遺障害認定は、「通院の仕方」「医師への症状の伝え方」「必要な検査の実施」「診断書の記載内容のチェック」「被害者請求の複雑な手続き」など、素人が一人で完璧に行うにはハードルが高すぎる要素がいくつも絡み合っています。

もし「非該当」という結果が出てから弁護士に駆け込んでも、すでに通院実績が不足していたり、不利な診断書が提出されていたりすると、異議申立てで結果を覆すのは非常に困難です。

そのため、まだ治療を続けている段階(できれば事故直後)から、交通事故と後遺障害認定に特化した弁護士に相談し、サポートを受けることが最も確実な対策となります。

弁護士が介入することで、医師への適切な働きかけや被害者請求の代行を行ってくれるだけでなく、後遺障害が認定された後の示談交渉においても、保険会社の低い提示額をはねのけ、最も高額な「弁護士基準」で慰謝料を大幅に増額させることができます。

ご自身の自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、自己負担なしで弁護士に依頼できるケースがほとんどですので、適正な賠償金を受け取るために、迷わずプロの力を頼ってください。

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島武広島・鈴木法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
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