交通事故で8ヶ月通院したらどうなる?

交通事故で8ヶ月通院した場合、賠償金がどうなるのか?についてここでは説明していきます。

通院8ヶ月の交通事故慰謝料の相場

慰謝料とは、事故による怪我のため精神的苦痛に対する補償です。

交通事故の慰謝料を算出するには、3つの基準があり、それぞれを①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士(裁判)基準があります。

このうち最も低額となるのが①自賠責基準で、最も高額になるのが③弁護士基準です。
自賠責基準は「通院期間」または「実通院日数」で考えるため、金額が変動しますが、弁護士基準は「通院期間」で考えます。そのため、通院8ヶ月のうち実通院日数が80日でも180日でも金額が変動することはありません。

以下、各基準について解説していきます。任意保険については算定表が非公開であるため、割愛させていただきます。

① 自賠責基準とは

自賠責基準とは、自動車損害補償法に基づき、自賠責保険が支払保険金を算出するために用いる基準です。

自賠責基準では、入通院慰謝料を1日当たり4300円として計算しています。(2020年3月31日以前に起こった事故については4200円)

具体的には、自賠責基準では以下の2つの式があり、金額の少ない方が採用されます。

4300円×入通院期間(初診から完治または症状固定まで)
もしくは
4300円×【(入院日数+実通院日数)×2】

②弁護士(裁判)基準とは

弁護士基準とは、裁判基準とも呼ばれ、裁判に至った場合や弁護士が示談交渉の際に慰謝料を算出するために用いる基準です。

弁護士基準では、日弁連交通事故相談センターが編集・発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準(通称:赤い本)」に掲載されている慰謝料算定表をもとに慰謝料を算定します。骨折や腹部損傷等の別表Ⅰと、むちうちや打撲などの別表Ⅱがあり、症状によって慰謝料算定表を使い分けます。

弁護士基準は、弁護士に依頼していない場合には、実際に裁判をしない限り採用されません。
というのは、相手保険会社としては、裁判となる蓋然性があるから弁護士基準を採用するのであり、一般の方が裁判を匂わせても、適切な訴訟提起及び遂行が出来るとは考えづらいからです。
弁護士がついた→交渉決裂したら裁判となり、適切に訴訟遂行される
という状態となってはじめて採用されるのです。

通院が8ヶ月前後の慰謝料相場の比較

通院が8ヶ月前後の場合の自賠責基準と弁護士基準の入通院慰謝料相場を比較していきましょう。

通院8ヶ月交通事故の慰謝料の計算例
ここでは、通院日数を80日(週2回程度の通院をする方が多いため)とすると

①自賠責基準

自賠責基準の計算式は以下の2つがあり、そのうち低額の方を採用します。

・4300円×治療期間(初診から完治または症状固定まで)

・4300円×【(入院日数+実通院日数)×2】

では、実際に実通院日数を180日とし、式に当てはめてみましょう。

・ 4300円×240日(8ヶ月)=103万2000円
・ 4300円×(80日×2)=68万8000円
上記の計算から②68万8000円の方が低額であるため、自賠責基準の入通院慰謝料相場は②が採用されます。

②弁護士基準

弁護士基準は、赤い本に掲載されている入通院慰謝料算定表を用いて慰謝料を算出します。
横軸が入院月数、縦軸が通院月数となり、交差するところが入通院慰謝料の相場となります。
今回は、通院8ヶ月、実通院日数180日ですが、弁護士基準では「通院期間」で考えるため、通院軸の8月と入院軸の0月が重なる部分が相場となり、別表Ⅱでは103万円、別表Ⅰでは132万円です。
30万円以上の差が生まれます。

8ヶ月の通院で適正な慰謝料を得るために気を付けたいこと

① 通院頻度

通院期間8ヶ月の場合に特に気を付けたいのが通院頻度です。
これは治療期間に関係なく、週2回「は」通院する必要があります。
それ以下になってしまうと「本当に痛ければもっと通院するはず」と言われて、治療を打ち切られてしまうからです。

② 過失相殺

交通事故では被害者にも過失がある場合があります。この被害者の過失分だけ、被害者が受け取る損害賠償金が減額されることを過失相殺といいます。

交通事故の過失割合は、過去の判例や証拠をもとに過失修正の交渉をしていきます。
実際には、別冊判例タイムズという本に記載されている過失を基本に決定されます。
ドライブレコーダーが存する昨今では、スムーズに決定されることが増えています。

後遺障害申請

8ヶ月間適切な日数で治療を行ったものの、後遺症が残ってしまうことがあります。
そういった場合、後遺障害等級認定申請をし、後遺障害として認定されれば後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害等級の認定とは、交通事故によって負った怪我の後遺症が、自賠責保険の定める後遺障害等級に該当すると認定されることをいいます。
後遺障害等級は症状の重さに応じて1~14級までの等級から定められ、数字が小さくなるにつれて症状は重くなります。
後遺障害等級認定は申請すれば誰もが等級認定されるものではありません。その認定率は決して高くはなく、難しい手続きとなるでしょう。

申請方法には、事前認定と被害者請求の2つの方法がありますが、後遺障害等級認定申請をする場合は「被害者請求」をおすすめしています。
被害者請求は被害者ご自身が後遺障害等級認定のための資料や書類をそろえるところから申請まで、すべてを行わなければならず、手間と時間がかかります。しかし、自ら後遺症の存在を裏付けする資料や検査結果などを選択できるため、手続きに透明性があり、認定率が高まることが期待できます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、事故により、後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛に対する補償です。
後遺障害慰謝料の金額の相場は、認定された等級ごとに異なります。等級に応じた目安額が設定されています。その目安額を元に個別の事情を考慮して増減することもあります。

下記の表では、後遺障害慰謝料の相場を、自賠責基準と弁護士基準で比較しています。
どの等級でも弁護士基準の方が高額になることがお分かりいただけるでしょう。

1級・要介護 自賠責保険1650万円
弁護士基準2800万円
2級・要介護 自賠責保険1203万円
弁護士基準2370万円
1級     自賠責保険1150万円
弁護士基準2800万円
2級     自賠責保険998万円
弁護士基準2370万円
3級     自賠責保険861万円
弁護士基準1990万円
4級     自賠責保険737万円
弁護士基準1670万円
5級     自賠責保険618万円
弁護士基準1400万円
6級     自賠責保険512万円
弁護士基準1180万円
7級     自賠責保険419万円
弁護士基準1000万円
8級     自賠責保険331万円
弁護士基準830万円
9級     自賠責保険249万円
弁護士基準690万円
10級     自賠責保険190万円
弁護士基準550万円
11級     自賠責保険136万円
弁護士基準420万円
12級     弁護士基準94万円
弁護士基準290万円
13級     自賠責保険57万円
弁護士基準180万円
14級     自賠責保険32万円
弁護士基準110万円

8ヶ月の通院で慰謝料以外に請求できる損害賠償金

8ヶ月も通院すると、怪我が大きいことが予想されるため、様々な金銭的損害が発生するでしょう。
慰謝料の他にも以下のような損害賠償金を請求できます。

①治療費

応急手当費、診察料、投薬料、手術費など交通事故と関係のある治療費について実費全額が認められます。

②付添看護費

医師から付添の指示がある場合のみ認められます。ヘルパーや専門家が付添した場合は必要性、相当性が認められる範囲で実費が損害として認められます。

③交通費

原則として公共交通機関の利用金額が認められます。ただし、公共交通機関の利用が困難な場合はタクシー代の請求が認められます。

④器具・装具費

松葉づえや車いす、義肢やメガネ、コンタクトレンズなど、基本的にかかった全額が認められます。

⑤休業損害

交通事故の怪我により仕事を休んだことによって収入が減ったことに対する補償です。
休業損害を請求できるのは、原則として収入の減少があった場合に限られ、その金額は基本的に事故前3ヶ月分から1ヶ月の平均収入を割り出し、実際に休業した日数をかけて計算します。有給休暇を取得した日も補償の対象となります。

事故に遭うのは会社員などの給与取得者だけではありません。主婦(夫)の方も事故に遭う確率はあり、怪我によって家事労働に支障が出る場合もあります。家事労働は経済的な価値のある仕事と考えられていることから、主婦(夫)の方でも休業損害を請求できるケースがあります。

⑥逸失利益

交通事故により負傷し、後遺障害が認定されたときは将来的な収入が減ったことに対する補償を請求できます。
これを逸失利益といいます。

後遺障害逸失利益は、会社員など給与形態がはっきりしている方だけでなく、自営業者や専業主婦(夫)、学生、子供も請求することができます。

 

以上、通院8か月の場合に得られる賠償金について述べてきました。
実際には、個々の事案ごとに、計算する方法や賠償が認められる項目が変わってきます。
8か月もの間通院されるということは、相当辛い怪我を負われ、日々悩まされていらっしゃったことでしょう。
そういった辛い思いを安易な示談で泣き寝入りしないで、適切な賠償を受け、適切な後遺障害認定を受けることが重要です。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
交通事故を長年、多数扱い、多数の後遺障害認定を導いてきた実績とノウハウから、個別具体的かつ最適なアドバイスをさせていただきます。

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島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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