休業損害について納得できない方へ
保険会社から提示された休業損害の金額や日数に納得がいかない、それだけを理由にして当事務所に相談に来る方が一定数いらっしゃいます。
金額としてはそれほど多額とは言えず、慰謝料を弁護士基準に直した方が金額が上がるというケースもあり、皆さんにとっては非常に重要な事項といえますので、ここで説明していきたいと思います。
1 休業損害とは、交通事故で受傷して治療のために仕事を休んだことにより得られなくなった収入です。
休業損害が認められる可能性がある期間は、ケースバイケース、事案によって変わります。
①後遺障害が認定されなかったケース
事故による受傷時から完治するまでの間の中での判断となります。
最大でその期間認められる可能性もあるのですが、通常はむち打ちで2週間から1か月という場合が多くなっています。
②後遺障害が認定されたケース
基本的には①と同じなのですが、後遺障害が残存するほど大きな怪我をした訳ですから、長期間休業補償が認められることが多いです。
③死亡したケース
入院後にお亡くなりになった場合には、事故時から死亡時までの期間の休業損害を請求できます。
2 休業損害が認められる人と認められない人の累計
交通事故でけがをしても、すべての方に休業損害が認められるわけではありません。
以下で休業損害を請求できる・できないの違いについて、ご説明します。
①休業損害が認められる場合
基本的には事故前に働いて収入を得ていた人です。例えば、
会社員
公務員
アルバイト、パート
日雇い労働者
自営業者
主婦や主夫
が挙げられます。
主婦や主夫は現実にお金をもらっているわけではありませんが、家事労働には経済的な価値があるので休業損害が認められます。(主婦や主夫の方の交通事故についてはこちらもあわせてお読みください>>)
ただし「家族のための家事労働」であることが必要となります。
②休業損害が認められない場合
以下の方は労働によって収入を得ていないため、休業損害を請求できません。
無職無収入の人
生活保護受給者
年金受給者
株式や不動産などの不労所得で生活している人
子ども
しかし、失業者でも休業損害を請求できるケースもあります。
失業者が休業損害を請求できるのは、以下の3つの要件を満たすケースです。
・就労意欲がある
・就労能力がある
・就労の蓋然性が高かった
実際にはケースごとに異なりますので、失業中の方は一度弁護士までご相談下さい。
無職や失業者の方の休業損害についてはこちらもあわせてお読みください>>
3 休業損害の計算方法
基礎収入(日額) × 休業日数
で計算されます。ですので、ご自身の1日当たりの収入が決まり、その上で何一の休業を認めてもらえるのかということが問題となります。
基礎収入について
基礎収入とは、事故前に得ていた収入です。給料や所得の額を「日額」にして計算します。
ただし主婦や主夫の場合には「平均賃金」を使って算定します。また失業者の場合には前職の収入や平均賃金を参考に基礎収入を算定するケースが多数です。
休業日数について
入院日数や通院日数、自宅療養した日数を算入できます。ただ、全期間認められるわけではありません。
また、仕事を休んだ日数の全ての期間分について必ず休業損害が認められるとは限らないことに注意が必要です。
4 職業別休業損害
具体的な休業損害の計算方法や注意点は被害者の職業によって異なります。
以下見ていきましょう。
①会社員などの給与所得者
会社員やアルバイト、パート、派遣社員などの給与所得者の方の場合には、「事故前3か月分の給与」の平均額をもとに基礎収入を算定します。ここでは所得税や住民税、社会保険料などが控除される前の総支払い額を基準にします。
会社員などの給与所得者が休業損害を請求する時には「休業損害証明書」が必要です。これは会社に給与額や休業日数を証明してもらう書類です。保険会社に書式があるので受け取って会社に渡し、作成を依頼しましょう。
しっかりと形式に沿って作成されていれば、基本そのまま認められることになります。
会社員の場合、有給休暇を取得して通院しても休業損害を請求できます。
休業によって賞与が支給されなくなった場合には賞与についての損害賠償も認められる場合があります。賞与減額証明書が必要とあります。
昇給や昇格が不可能になったり遅れたりした場合、それらについての損害賠償も認められる場合があります。ただし、なかなか簡単には認められないため、相応の資料が必要です。
この場合はご自身で判断せず弁護士の意見を聞くことをお勧めします。
②自営業者
自営業者の場合、事故の前年度の確定申告書の「所得額(収入から経費を引いた金額)」を基準に基礎収入を算定します。ただし地代家賃や保険料などの「固定経費」や「専従者給与」「青色申告特別控除」などの金額は割り戻して計算します。
赤字でも生活している以上何らかの収入があり、最低限「固定経費」は支払っているはずなので、そういった金額を基礎としたり平均賃金を使ったりして休業損害を計算します。
過少申告の場合には、実際に得ていた収入額を立証できれば申告所得額を超える基礎収入が認められる可能性があります。ただし、それほど簡単ではないため、専門家である弁護士の力を借りた方がよいと言えます。
③主婦などの家事従事者の場合
主婦や主夫の場合には、「全年齢の女性の平均賃金額」を基礎として基礎収入を算定します。
2018年の全年齢の女性の平均賃金額は382万6,300円なので、これを365日で割ると1日当たり10,483円となります。
④失業中の場合
失業中の方でも、就労意欲と就労能力、就労の蓋然性があれば休業損害が支払われます。この場合の基礎収入は「学歴、年齢別の平均賃金」や「前職における収入額」「内定先の企業の賃金体系」などを参考にして算定されます。
⑤自賠責基準について
1日5,700円 × 休業日数
ただし給与明細書などで現実の収入を証明できる場合、1日当たり19,000円まで増額できます。
5 休業損害を適正に受け取るためのポイント
交通事故の被害者が休業損害を適正に受け取るには事案にもよりますが、弁護士の力を借りた方が早い場合が多いです。特に、弁護士費用特約を利用できるなら、1日でも早く弁護士に依頼すべきと言えます。専門家によるアドバイスを受けながら、治療、後遺障害認定、賠償金の交渉、訴訟などの良い結果が出る可能性が高まります。
デメリットは弁護士費用だけであり、弁護士費用がかからない可能性の高い弁護士費用特約が利用できるのであればデメリットがなくなり、メリットだけを享受できます。
例えば、主婦の方の休業損害であれば、賃金センサスを利用して1日1万円を超える金額を弁護士がついていれば請求できるのですが、ご自身で賃金センサスを利用してと言っても保険会社は取り合いません。
それは、あくまでも裁判所での基準なので、裁判を提起される蓋然性がなければその基準を採る必要がないことにあります。弁護士がつけば裁判は当然適正に遂行できるので、保険会社も裁判所基準での示談に応じるのです。
また、弁護士費用特約がない場合でも、休業損害をはじめとする全項目を裁判所基準に直すだけで弁護士費用を支払っても、保険会社提示の金額を超えるケースが圧倒的多数となっています。それくらい弁護士がつくつかないで賠償金の金額が変わるということになります。
以上の休業損害について述べてきました。
争点になりやすい項目であり、あまり強硬に主張していしまうと相手保険会社に弁護士がついてしまい一方的な条件を飲むか、訴訟を提起するかを迫られてしまう場合もあります。
まずは交通事故を専門にしている弁護士に相談することをお勧めします。
是非一次当事務所の初回無料相談をご利用ください。
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