経営者や会社役員が交通事故に遭った時の逸失利益はどうなる?
交通事故によって負傷し、治療したものの後遺症が残り、自賠責保険から後遺障害等級が認定されると、以後の仕事へのパフォーマンスが下がると扱われ、その分を賠償してもらう逸失利益を請求することができます。
サラリーマンなどの給与収入者であれば、
稼働年数(67歳までの年数)のライプニッツ係数(一括支払いとなるため将来の運用益が控除されます)
×前年度年収
×労働喪失率(等級ごとに決まっています)
で計算することができます。
経営者などの方の場合、このうちの前年度年収をどう計算するかが問題となります。
以下説明していきます。
逸失利益の計算方法の基本
① 「基礎収入」
原則として事故前の現実の収入額を基礎とし、将来現実の収入額以上の収入を得られる証拠があれば、その収入額が基礎となります。
② 「労働能力喪失率」
後遺症によって事故前と比べてどのくらい労働能力が失われてしまったのかという割合です。
上で述べたとおり、後遺障害等級ごとにどの程度労働能力が喪失するかという一応の基準はあります。
外貌醜状や歯牙欠損などは、労働能力それ自体には問題がないことも多く、基準よりも低い労働能力喪失率しか認められないこともあります。
③ 「ライプニッツ係数」
将来分の収入が一時金で支払われることにより、被害者が将来の利益(利息など)を先に取得することになるため、その得られる利益を前もって控除するための数値です。
役員報酬の『労務対価部分』と『利益配当部分』
会社役員の方の後遺症による逸失利益を考える際に注意が必要なのは、役員報酬全額が逸失利益を計算する「基礎収入」にはならないことがあるという点です。
そこで、役員報酬は、実際の労働の対価である「労務対価部分」と、会社の利益を配当する「利益配当部分」に分けた上で、基本的には「労務対価部分」は逸失利益を計算する際に基準となる「基礎収入」とする一方、「利益配当部分」は「基礎収入」には含まれないとされています。
ただ、役員報酬のうち、どこまでが労務対価部分でどこからが利益配当部分なのか、通常は明確に区別されていません。
そこで、裁判上は、次のような事情を総合的に判断して、役員報酬に占める労務対価部分を検討することになります。
会社の規模、売上げなどの利益状況
役員の地位、職務内容、年齢
役員報酬額
他の役員や従業員の職務内容と報酬・給料額との差異
事故後の報酬額の変更の有無 など
以上の点は、あくまでも個別具体的に、事例ごとに判断していくしかありません。
もし、経営者や会社役員の方で、交通事故でお悩みでしたら、まずは当事務所の初回無料相談をご利用ください。
もちろん、顧問弁護士などがいれば問題ありませんが、そうではない場合や顧問弁護士の方が交通事故を専門としていない場合、相談だけでもする価値は十分にあります。
交通事故を常時多数扱い、多数の事件を解決してきた経験とノウハウから、最適なアドバイスをさせていただきます。
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