交通事故で骨折したときに知っておきたいこと

ここでは交通事故で骨折したときに知っておくべきことを解説します。

1 交通事故の骨折の治療方法

交通事故で骨折してしまった場合、治療法は大きく、以下の2つに分かれます。
それは①保存療法、②手術です。

交通事故で骨折してしまった後に、手術を行わない場合はギプスなどで固定する保存療法を行います。
軽い骨折であれば、この保存療法で治療するケースが一般的です。

骨折で手術を行うのは、骨折の状態的に保存療法で回復が見込めないケースや、関節や体荷重のかかる部位の骨折などとなります。

2 交通事故での骨折の種類

交通事故の骨折には主に下記のような種類があります。

単純骨折 皮膚表面から折れた骨が露出していない骨折
粉砕骨折 骨が粉々に砕けた骨折
圧迫骨折 骨が潰れたように変形した骨折
剥離骨折 外部衝撃により靭帯や腱の結合部分から骨が剥がれた骨折
解放性骨折 骨が折れると同時に同部位の皮膚が損傷し皮膚から骨が露出した骨折

3 交通事故での骨折でよくある悩み

交通事故での骨折で、よくある悩みを説明していきます。

①治療費の支払方法

治療費については、保険会社が直接医療機関に支払ってくれる一括対応が通常となります。
この一括対応は、すべての手続を相手保険会社が行ってくれるため、非常に便利と言えます。
しかし、デメリットもいくつかあります。
まず、治療期間を相手保険会社の主導で決められてしまいます。
まだ痛みや痺れがあり、治療をしたいと思っていても、相手保険会社が打ち切りを決めれば、その時期以降治療を希望しても治療費を自ら負担することになります。

また、一括対応の場合、治療費の金額は、それぞれの医療機関が決定でき、通常健康保険診療の2から4倍となっています。
追突事故など過失がない事故であれば問題ありませんが、交差点での事故など自らにも過失がある場合、治療費の金額が高ければ高いほど、最後に受け取る慰謝料などの賠償金にまでも相殺分がかかってきてしまいます。
ですので、過失のある事故の場合は、健康保険もしくは労災を利用したほうが治療費を抑えられるため最後に多くの賠償金を得ることができます。

その健康保険ですが、治療費が安くなることに加え、自ら治療費を負担するので、相手保険会社に指図されることなく主治医が治療の必要性を認める限り、治療期間を確保できます。
そのことが、後遺障害等級認定にもプラスに影響します。
というのは、自賠責保険は、後遺障害等級が認定されるような事故であれば、長期間通院するはずという考えがあり、相手保険会社に打ち切られずにしっかりとした治療期間を確保することで後遺障害等級が認定の可能性が高まるからです。

ただ、そんな健康保険もデメリットはあります。
まず、保険負担分は自分でいったん立て替えなくてはなりません。
骨折のような大きな怪我の場合、その期間は長期になり、自ら治療費を負担する額も多額となる可能性があります。
また、整形外科医の中には、健康保険を利用すると後遺障害診断書は作成しないという人もいます。更には、健康保険を利用するなら交通事故は受け容れたくないという医師もいます。

労災は、労災認定が受けられるのであれば、特に問題はないのですが、健康保険を利用する場合より若干治療費が高くなるのと、勤務先が小さな会社の時など、総務がしっかりとしていないと自ら労災適用手続をしなくてはならない場合があります。

そのあたりは、事案によって大きく異なってきますので、是非一度交通事故を専門とする弁護士の意見を聞くべきです。

②休業補償

まず、労災が利用できるなら利用しましょう。
理由は下記のとおりです。
・労災を使用した方が休業補償の額で2割分得
労災を使用した場合、60%分の休業(補償)給付と20%分の特別支給金が支給される上に、保険会社から40%分の休業補償を受け取ることができますので、120%分の休業補償を受け取ることができます。

これは2割分の特別支給金が法的には休業補償に当たらないため、保険会社が被害者に10割分の休業補償を受け取らせるには、4割分の休業補償を補填しなければならないことによるものです。

・労災を使用した方が休業期間が長い
労災は医師に休業の必要性について意見を聞きながら休業補償の打ち切りを決めますので、お客様と医師がしっかりコミュニケーションを取っていれば、突然休業補償を打ち切られるということはまずありません。
職場復帰が順調に行かないということもありますので、休業期間を長く認める傾向にある労災を使用しておいた方が安心です。

労災を使用するかどうかでお悩みの場合には、交通事故に強い弁護士へのご相談をお勧めします。

③後遺障害認定

後遺障害を獲得するには適切な後遺障害診断書の作成、適切な時期に適切な治療・検査をする必要があります。
まず、後遺障害診断書ですが、医師であるからと言って誰もが等級が認定されるに足りるものを書いてくれるとは限りません。
というのは、医師は診断・治療についてはプロですが、自賠責保険が何を求めていて、何を重要視しているかを理解していることは非常に稀といえます。

私が担当した事件では、骨折による機能制限が生じているにも関わらず、可動域の記載がまったくない後遺障害診断書を渡されたこともあります。
すぐに、依頼者の方に訳を話し、可動域を記載してもらい、無事後遺障害等級を得たこともあります。
依頼者の方が何も知らずにそのまま後遺障害申請していたら、等級が付かない可能性もありました。
このようなことが起きないようにするために、後遺障害に詳しい弁護士のアドバイスを受けておく必要がありますし、それは早ければ早い方がよいです。

4 交通事故で骨折した場合の慰謝料の相場

交通事故で骨折した場合の慰謝料には自賠責、任意保険、裁判と3つの基準があります。
そして、交通事故による骨折の慰謝料には①入通院慰謝料と②後遺障害慰謝料があります。

①入通院慰謝料

・自賠責基準での入通院慰謝料は、1日あたり日額4,300円(※2020年3月以前の交通事故については4,200円)、計算方法は以下の通りで、2つの計算を行い金額の少ない方が入通院慰謝料として採用されます。

・任意保険基準での入通院慰謝料
任意保険基準は、各保険会社によって支払う慰謝料額が異なるため、未公表であり相場は確定していません。

・裁判基準での入通院慰謝料
裁判基準では、入院期間、通院期間によって慰謝料が支払われます。裁判基準による入通院慰謝料は、骨折の場合、金額の高い別表Ⅰを利用するため、半年であれば116万円となります。当然一番高額となります。

②後遺障害慰謝料
治療後に後遺障害の認定を受けることで、後遺障害慰謝料を獲得することができます。
等級により金額が異なり、
1級なら自賠責で1,150万円(要介護1,650万円)、裁判所基準で2,800万円
以下同じで
2級998万円(要介護1,203万円)、2,370万円
3級861万円、1,990万円
4級737万円、1,670万円
5級618万円、1,400万円
6級512万円、1,180万円
7級419万円、1,000万円
8級331万円、830万円
9級249万円、690万円
10級190万円、550万円
11級136万円、420万円
12級94万円、290万円
13級57万円、180万円
14級32万円、110万円
となっています。

では、保険会社に裁判基準の慰謝料を支払わせるにはどうすればよいのでしょうか?
保険会社に裁判基準で慰謝料を支払わせるのに、必ず裁判をしなければならないわけではありませんが、弁護士への依頼が不可欠です。
というのは、相手保険会社が裁判所基準を採用するのは、裁判を起こされる蓋然性があるからです。
一般の方が適切に訴訟提起をすることは困難ですし、更に訴訟遂行することはもっと困難です。
ですので、相手保険会社は弁護士が付かない限り、裁判所基準の採用を検討もしないのです。

5 逸失利益

後遺障害等級が認定されると、後遺障害逸失利益を請求できます。
後遺症が将来の仕事・家事に与える影響に対する補償です。

①被害者の収入(職がない方の場合は働いたら得られる見込みのある収入)
②後遺障害等級に対応する労働能力喪失の割合
③後遺障害が影響を及ぼす期間(労働能力喪失期間)

①×②×③で計算されます。
後遺傷害の補償にも、慰謝料と同じく3つの基準があります。
裁判基準による後遺障害慰謝料に満たない金額しか提示されていない場合には、弁護士に依頼することで後遺障害慰謝料を増額することができます。

逸失利益も自賠責基準と裁判基準でかなり差がありますので、2つ合わせると、どの基準で支払いを受けるかで、数百万円、数千万円の差が出てしまいます。弁護士に相談して裁判基準で支払を受けることが不可欠です。

以上交通事故で骨折した場合に知っておきたいことについて述べてきました。
骨折をしたということは大変な事故であり、安易な妥協はその後の人生にも影響します。
まずは専門家である弁護士に相談してください。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
交通事故に注力する弁護士ならではのアドバイスをさせていただきます。

運営者情報

島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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