交通事故で遷延性(せんえんせい)意識障害になったら?後遺障害や損害賠償について詳細に弁護士が解説
遷延性意識障害とは、交通事故による頭部外傷などが原因で3か月以上にわたって自力移動や排せつ、意思疎通等ができない状態をいいます。
生命を維持するために必要な脳の重要な部分は不完全ながら生きているため、命は保たれています。
1 遷延性意識障害の原因
遷延性意識障害は、頭部に強い衝撃を受けるなどして、大脳が広範囲で損傷することによって発症することがあります。
交通事故に遭うと、事故の衝撃により頭部に衝撃が加わるほかにも、転倒するなどして頭部を地面に強く打ち付けるなどして、脳に大きなダメージを負う可能性があります。
2 遷延性意識障害の症状
遷延性意識障害は、治療を行っているにもかかわらず、以下の6項目が3か月以上経過しても継続するような場合をいいます。
- 自力で移動することができない
- 自力で食事ができない
- 便や尿を失禁してしまう
- 声は出せても意味のある発語ができない
- 意思疎通がほとんどできない
- 眼球はかろうじて動くが認識はできない
3 遷延性意識障害は治るか
遷延性意識障害に有効な治療方法は、残念ながら現在の医療技術では確立されていません。
それでも、下記のとおりいくつかの治療方法があります。
- 脊髄後索電気刺激:脊髄の硬膜外腔に電極を埋め込むなどして、弱い電流で脳を刺激するという治療方法です。
- 脳深部電気刺激:脳の深部を電気で刺激する治療方法です。
- 正中神経刺激法:手にある正中神経を電気で刺激する治療方法です。
- 迷走神経刺激法:頚部の迷走神経を電気で刺激する治療方法です。
4 遷延性意識障害の症状固定と予後
医学的には、自力で移動することや食事ができないことなどの遷延性意識障害の定義である6項目が認められる状態が3か月継続することで、遷延性意識障害を診断することができます。
そのため、医学的には3か月経過した時点で症状固定を診断できます。
ただ、症状固定後は痰の吸引や酸素の吸入、床ずれ防止など24時間体制の常時介護が必要です。
しかし、症状固定してしまっては入院を継続することが難しい場合があります。
在宅介護の場合には自宅をリフォームする必要や、施設入所の場合は入居費用がかかります。
適切な後遺障害等級認定を受け、損害賠償金を受け取ることが重要です。
5 遷延性意識障害の示談における注意点
遷延性意識障害になってしまった場合、将来にわたって必要となる介護費用や逸失利益も請求することが可能です。
被害者が生きている限り必要となる費用であるため、余命の長さが金額に影響を及ぼします。
遷延性意識障害の患者の平均余命は短い傾向にあり、およそ3年程度であると言われています。
加害者側の保険会社から、将来の介護費用や逸失利益について減額を求められる可能性がありますが、保険会社からの提示に安易に応じてはいけません。
在宅介護には、訪問介護費用のほか、家族による介護費用や自宅のバリアフリー化にかかる費用なども必要なため、施設入所よりも将来介護費が高額になる場合があります。
このことから、示談交渉相手となる加害者側の任意保険会社が支払う賠償額を抑えるために、在宅介護による賠償金請求自体を拒否するおそれがあります。
在宅介護による賠償金を獲得するためには、在宅介護の必要性を立証することが必要不可欠です。
まとめ
以上、遷延性意識障害について説明してきました。
遷延性意識障害は、後遺障害等級の中で最も重い等級を得る可能性が高い状態です。
それゆえ、被害者の生活に大きな影響を与えることから、請求できる賠償金は高額になることが予想されます。
被害者の方はもちろん、ご家族の人生も変えてしまう重大な事故といえます。
一般の方が自力で適切な解決をするのは難しいといえます。
交通事故を専門とする弁護士に相談することからはじめましょう。
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