むち打ちで後遺障害等級を得るために必要なこと
交通事故に遭ってしまい生じる怪我のうち、圧倒的多数はむち打ち、すなわち、頚椎捻挫となります。
ここでは、そんな頚椎捻挫で後遺障害等級をカ獲得するために必要なことを説明していきます。
むち打ちとは
むち打ちとは、首が急激に振動し、首周辺の組織を痛めてしまう傷病です。
普段そこまで動かない首が、鞭のように動いてしまい負傷するためむち打ちと言われています。
むち打ちの症状としは
・首の可動域制限
・首の痛み
・肩こり
・めまい
・耳鳴り
・だるさ
・頭痛
・肩から腕の痺れ
などがあります。
むち打ちはほとんどが首を痛めますが、腰を痛める場合もあります。いわゆる腰椎捻挫です。
同じ神経の損傷なので症状も非常によく似ており、腰椎捻挫では腰の痛みや腰から下肢の痺れが生じます。
交通事故で「むち打ち」と診断されたとき、非常に重篤な症状が発生するケースがあります。内部の神経が酷く損傷していたり、脳や脊髄の障害が発生したりする可能性もあり注意が必要です。
むち打ち後遺障害等級について
交通事故で怪我をして治療したものの後遺症が残っている場合には、後遺障害等級申請をすることになります。
むち打ちでも重い場合、治療をしても以前のように首が動かない、酷い痛みがあるなどある場合あります。
後遺障害認定を受けられると、以下の2種類の賠償金を受け取ることができます。
①後遺障害慰謝料
後遺障害が認定されると後遺障害慰謝料が支払われます。
金額は自賠責保険で決められた金額と裁判所で認定される基準があります。
一番低い14級でも110万円と高額であるため、後遺障害なしの場合に比べて金額は上がります。
②後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益は、後遺障害が残ったことによって働いた際のパフォーマンスが低下し、本来得られるはずだったのに得られなくなった収入に対する補償です。
実際に収入が落ちていることなどを立証する必要があることにすると、早期に賠償が出来ないため、基本的に等級ごとに労働能力喪失率を定めて計算していきます。
例えば、むち打ちで後遺障害が認定され、実際に減収がなくても受け取ることができます。
後遺障害の等級ごとの後遺障害慰謝料は下記の通りです。
後遺障害慰謝料の額
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円
後遺障害逸失利益の金額
後遺障害逸失利益の金額は、後遺障害等級によって計算していきます。
逸失利益は被害者の年齢と事故前の年収を基に計算していきます。
むち打ちの際に認定される後遺障害12と14級の場合、数十万から数百万円程度になるケースが多いす。
交通事故で後遺症が残ったら、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取るために必ず後遺障害認定を受けるべきといえます。
むち打ちの後遺障害等級
むち打ちの症状の内容によっても異なりますが、認定される等級は12級13号または14級9号が殆どです。
この後遺障害等級ですが、むち打ちの場合ほとんどのケースは非該当(後遺障害がなしということです)であり、14級はなかなか認められないことが多く、12級に至ってはむち打ちで認定されるのは本当にレアケースです。
12級13号は、むち打ちなどの神経症状の中でも、画像所見と神経学的検査などによって症状を医学的に証明できるケースで認定されます。
たとえばレントゲンやMRI、CTなどで明らかに外傷性の異常がみられる場合、12級13号が認定される可能性があります。
14級9号は、医学的には症状を立証できなくても被害者の訴える自覚症状に合致する症状が発生していると合理的に推認されるケースで認定されます。頸椎捻挫や外傷性頸部症候群と診断された場合でも、交通事故の内容や受傷時の状態、これまでの治療経過などの事情から実際にむち打ちの症状が出ていると考えられる場合、14級9号が認定される可能性があります。
12級と14級の違いは根本的な違いは「症状を医学的に証明できるかどうか」にあります。
医学的に証明できれば12級が認定される可能性もありますが、証明できなければ14級または非該当にしなります。
むち打ちを医学的に証明するには基本的に画像で事故で異常が生じたことを証明しなくてはなりません。
むち打ちで重要な画像検査とは
12級認定に必要な画像は下記の通りです。
①レントゲン(X線検査)
事故に遭うと必ずレントゲン撮影をします。
ただ、むち打ちでは、椎間板や神経といった柔らかい組織に異常がある場合が多いので、後遺障害認定ではレントゲンはそこまで重要視されません。
②CT
CTもレントゲンと同様、骨などの固い組織の異常を確認するのが目的です。
こちらも、レントゲン同様後遺障害認定手続きではそこまで重要視されません。
③MRI
MRIは、靱帯、腱板、軟骨などの軟部組織の状態を確認できます。
MRIファーストとの言葉がある通り、もっとも重要な検査となります。
痛みや痺れが残存し、簡単に治らないと感じたら早期に、必ずMRI撮影をしてもらいましょう。
通常の整形外科にはMRIの機器はないことが多いですが、そういった場合には提携している病院に撮影の手配をしてくれます。
また、MRIの検査機器の性能にも注意を払うべきです。医療機器も機械なので、性能が様々だからです。
MRI検査機器の場合には画像の「精度」が異なり「テスラ」という単位で精度が表記されます。当然、精度の高いMRI撮影機器を使った方が、より正確に異常な箇所を把握できる可能性が高くなります。
現在、日本では0.2~3テスラのMRI検査機器が出回っており、主流は1.5または3テスラとなっています。1.5テスラより3テスラのものの方が精度は高いので、もしも1.5テスラのMRIで異常が写らなかった方も、3テスラのもので測定し直すとなにかしらの異常が見つかる可能性があります。
通っている医療機関で何テスラのMRI検査機器が使われているのかについても、留意してみてください。
神経学的検査について
むち打ちになったとき、CTやMRI撮影を行っても必ずしも異常な箇所を確認できるとは限りません。その場合でも神経学的検査を実施することが非常に重要です。
たまに、後遺障害診断書作成後に確認すると、この検査をしてないかのような診断書を見ます。そういうときは必ず書き直してもらっています。
中には実施をしていない病院もあります。そんなことでは認定される後遺障害も認定されなくなってしまいます。
神経学的検査とは、首や肩を動かしたり反射機能や感覚機能を確認したりするテストです。
後遺障害等級認定の際、特に14級の有無を判断する際にはこちらも重視されるので、むち打ちで後遺障害等級認定を受けるには、画像検査と併行して神経学的検査をしてもらう必要があります。
神経学的検査には下記のような種類があります。
①ジャクソン・テスト
患者が座った状態で医師が患者の頭の上に手を置いて下方へ圧迫する検査方法です。
首のあたりから背中、腕などにしびれや痛みを感じたら陽性と判定されます。
②スパーリング・テスト
患者に神経根の障害が発生していないかどうかを調べるために実施する検査です。
患者を座らせて頭を方向け、後ろから患者の首を下方へ圧迫します。
このとき、首から腕のあたりにかけて痛みやしびれなどを感じたら陽性と判定されます。
③腱反射テスト
専門の打腱器で健の部分を叩いて反射機能を確認するためのテストです。
反射の異常には「反射の亢進(過剰に反射が起こる)」と「反射の低下(反射が起こらない、程度が低い)」の2種類があります。
反射は患者の意思によって操作できるものではないため、後遺障害認定の際にも他覚的所見として重視される傾向があります。
④筋電図検査
筋肉の活動性を確認するための検査です。
むち打ちになると筋肉の活力が衰えるケースがあるので、筋電図検査によって状態を確認します。筋肉の機能が低下するパターンには「筋肉自体の疾患(筋肉疾患)」によって発生する場合と「神経からの刺激が伝わりにくくなる疾患(神経疾患)」によって発生する場合があります。
筋電図検査を行うと、その原因を特定できるので、むち打ちなどの神経疾患によって筋肉機能の低下が生じていることを証明するのに役立ちます。
また筋電図検査を実施するときには、細い針を筋肉に刺す「針電極法」という方法が用いられるケースが多数です。
⑤徒手筋力検査
医師が患者に手で圧力を加えることにより、患者の筋力が低下しているかどうかを確認するためのテストです。
筋力の程度は一般的にグレード0からグレード5までの6段階によって評価されるケースが多数です。ただし医師によってはさらに細かく分類する方もおられます。
⑥筋萎縮検査
筋肉の萎縮度合いを調べるための検査です。
むち打ちになると、腕や肩を動かしにくくなったり固定したりするので、腕の筋肉が失われて細くなってしまうケースが少なくありません。
そんなとき左右の腕の周囲の長さを計測して比較し、筋肉が萎縮していないかどうかを確認します。これが筋萎縮検査です。
筋萎縮は患者が操作できるものではないので、後遺障害等級認定の際に信用性の高い他覚所見と受け止められています。
またむち打ちの場合、14級が認定される程度であれば筋萎縮までは認められないケースが比較的多いのに対し、12級が認定されるレベルになると、筋萎縮が認められるケースも多くなってきます。
MRI撮影などで神経根の圧迫などの他覚的所見があるなら、積極的に筋萎縮検査を行って後遺障害診断書へその結果を記載してもらいましょう。
⑦知覚検査
むち打ちになると感覚異常が生じる可能性もあります。ものを触ったときの感覚、温度感や痛覚などが鈍化するのです。
そこで知覚検査として、針や筆などで刺激を与え、痛覚や触覚、温度感、振動の感覚、位置感覚などが正常かどうかを検査します。
⑧ラセーグ・テスト
患者を仰向けに寝かせて股関節と膝関節を90度になるように曲げさせます。そして医師が、患者の膝を徐々に延ばしていきます。
このとき、太腿の裏側から下腿の後ろ側に疼痛を感じたら陽性と判定されます。
⑨握力検査
むち打ちになると、筋力が低下するため握力も落ちる方がおられます。そのため神経学的検査の一環として握力検査を実施することもあります。
ただし握力検査は後遺障害等級認定の際にさほど重視されません。あくまで補充的な検査と考えましょう。
⑩皮膚温検査
むち打ちになって神経に異常が生じると、稀に皮膚温にも変化が生じるケースがあります。
そうした症状が疑われる場合、神経学的検査として皮膚温検査を実施することも考えられます。
⑪ホフマンテスト
ホフマン反射は「病的反射」を調べるための検査です。
病的反射とは、正常な状態では発生しない反射をいいます。むち打ちによる神経異常の影響で、普段であれば起こらないはずの反射が発生してしまうのです。
ホフマンテストは、患者の中指を上から下にはじき、他の指が反射的に屈曲しないかどうかを調べる検査です。親指が曲がる場合には神経障害があると判断されます。
ホフマンテストによって病的反射が確認される場合、脊髄障害や錐体路障害などの重大な症状も疑われるので必要に応じて精密検査も受けましょう。
⑫バビンスキーテスト
バビンスキーテストも病的反射を調べるための検査です。
患者の足を刺激したときに、親指がそり上がる屈曲が起こるかどうかをチェックします。
このテストも患者の恣意によって操作できるものではないので、信頼性が非常に高いと考えられています。
⑬ワルテンベルグテスト
ワルテンベルグテストも病的反射テストの一種です。
ワルテンベルグ反射テストを行うときには、患者の手を開いて上に向かせ、指は少し曲げた状態にして、医師が患者の手指の掌側をゴムでできたハンマーで叩きます。
そのとき、患者の親指が内側へ曲がると「陽性」と判定されます。
ワルテンベルグテストで陽性反応が出ると「錐体路障害」が疑われます。
⑭ワルテンベルグ徴候テスト
もう1つ、ワルテンベルグ徴候テストというものもあります。
これは、患者が親指以外の4本の指を曲げて、検査者(医師)とその指を引っ張り合う検査方法です。
患者の親指が内側へ曲がると陽性となり、やはり錐体路障害が疑われます。
⑮トレナムーテスト
トレナムーテストは、患者の中指を掌側から弾いたときに、親指を含む指が屈曲反射するかどうかを確認する病的反射テストです。
上記のように神経学的検査には非常にさまざまな種類のものがあります。中には後遺障害等級認定で重視されるものもありますが、そうでないものも少なくありません。
①②③の検査をして、その他は必要に応じてということが多いですが、上で述べた通り、そのあたりをわかっていないのか、リハビリに任せきりなのか、検査をしない医師もいるので注意が必要です。
後遺障害診断書の重要性
交通事故で後遺症外等級認定を申請する際、後遺障害診断書を提出しなければなりません。
後遺障害診断書の記載内容は、画像や神経学的検査の結果と同じくらい後遺障害等級認定の結果へ重大な影響を及ぼします。
いい加減なものを一度自賠責保険に提出してしまうと、それだけで予期せぬ悪い結果を招いてしまいます。
作成した後遺障害診断書が適切なものかをしっかりと確認した上で提出しましょう。
むち打ちの場合であれば検査結果や残っている症状の具体的内容、患者の自覚症状、今後の寛解見込みなどを過不足なく記載します。
後遺障害診断書に書かれた内容によっては後遺障害が認定されなくなったり、認定等級を低くされたりする可能性もあるので注意しなければなりません。
たとえば「今後寛解見込みがある」と書かれると「後遺障害は残っていない」と判断されて非該当にされてしまうケースもあります。しっかりと症状固定と書いてもらいましょう。
また神経学的検査を行った場合には、後遺障害診断書にその結果を正確に記入してもらわねばなりません。
後遺障害診断書は主治医の方に書いてもらうことになります。
とりあえず、書いてもらい交通事故の専門家である弁護士に見てもらい、修正が必要であれば具体的に伝えて、修正してもらうことが肝要です。
きちんとした後遺障害診断書を作成してもらうためには、ご自身で行わなければならないことがあります。
まず、普段から事細かくご自身の症状を医師に伝えましょう。
それに対して、耳を傾けてくれない、カルテに何も記載してくれない医師は要注意です。
また、後遺障害診断書作成時には、医師に正確に自覚症状を伝えるため、事前に普段生じている痛みや痺れなどの不都合を、簡潔かつ具体的に紙に書いて医師にみてもらいましょう。
たとえば「手がしびれる」などの抽象的な記載ではなく「左腕の内側の肘部分から手首の部分にかけて痛みが出る」など、具体的に書くと症状を伝えやすくなります。
また日常生活でどういった不便があるのかを書くと、状況を理解してもらいやすいものです。たとえば「階段を上がるときに脚の痛みがあるので引きずってしまう」「首を動かすと痛いので、呼ばれても振り向くことができない」など、日常の出来事をふまえて書いてみてください。
むち打ちの後遺障害認定では神経学的検査の結果も重要です。
必要充分な検査を受けてその結果を後遺障害診断書に反映してもらうのはもちろんのこと、「自覚症状と検査結果に整合性があること」を医師の意見として記載してもらうべきといえるでしょう。
たとえば反射テストで筋反射の低下が起こっているときに患者が「左の指先にしびれがある」などと訴えていれば、「検査結果と自覚症状に整合性が認められる」などのコメントを診断書に書き込んでもらうようにしてください。
画像所見との整合性について記載してもらいましょう。
MRIなどで他覚所見が確認されたのであれば、神経学的検査との整合性を記載してもらえば後遺障害認定の可能性も高まります。
後遺障害診断書作成の際に医師とのコミュニケーションが重要といっても、交通事故の被害者自身が医師に診断書作成に際しての希望事項を伝えるのは簡単ではありません。
ご自身で初めて書いてもらう後遺障害診断書を完全なものにするのは不可能ではないでしょうか。
何をどう書けばよいか知っている被害者の方に私はお会いしてことがありません。
医師に後遺障害診断書の作成を依頼するときには、弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故を専門とする弁護士であれば、後遺障害診断書作成の際にどういった点に注意すべきか、どういった点を強調すべきかなど、的確に判断できるものです。
自分で医師に適切な後遺障害診断書作成の依頼ができる自信のない方は、まずは先に弁護士に相談して注意すべきポイントを確認しておくとよいでしょう。
また、もう1つ重要なのは、医師の方は、自賠責保険において後遺障害があると認めてくれるための書き方を知っていないことが多い、ということになります。
横須賀にも文句なしという診断書を最初から書いてくれる病院もありますが、ほんの僅かです。
私の依頼者の皆さんには、殆どの場合で後遺障害診断書の修正をお願いしています。
お医者さんが言うから間違いない、という発想では後遺障害診断書のせいで非該当になる可能性もありますので、注意が必要です。
むち打ちで後遺障害認定を得る重要なこと
①週2回以上整形外科に通う
通院回数が少ないと、それほどでもない怪我だなと自賠責保険が考えます。
そう思われないためには、週2回以上の通院が必要です。
また通院を軽視して10日や2週間など通院期間を空けると、後遺障害を否定されやすくなるのでくれぐれも注意してください。
②半年以上通院する
また、治療期間が半年を超えないとむち打ちでの後遺障害は認定されないといえます。
後遺障害が残るようなむち打ちは半年以上通院するはずというのは今の自賠責保険の考え方になります。
そのため、相手保険会社からの打ち切り提案を受け入れてしまうことは注意が必要です。
症状固定時期については医師が医学的な視点から判断するので、患者の考えで勝手に通院を辞めてはいけません。保険会社も症状固定時期を把握できるわけではないので、保険会社から「通院は終了しましょう」といわれても、鵜呑みにせずに医師の意見を聞いてから対応を判断しましょう。
打ち切られてしまったとしても、健康保険を利用して通院を継続することも検討する必要があります。
③一貫した症状を訴える
むち打ちで後遺障害認定されるためには、事故当時から受傷直後から症状固定するまで一貫した症状が連続している必要があります。
途中で症状がなくなったり、痛い場所が変わるなどすると、その痛みは交通事故とは無関係と判断されるおそれがあります。
④症状をカルテにしっかりと記載してもらう
最近の病院は、パソコンでカルテを記載するようになっており、そういった病院は割と症状を記載してくれます。
昔ながらの手書きの病院では、ハンコを押すだけ、たまにしか手書きで記載しない、記載しても1行だけなどということがあります。
これでは、後遺障害が認定されるのは厳しくなってしまいます。
カルテをしっかりと記載してもらえるようにしっかりと症状を伝え、そのことを記載してほしいとお願いしましょう。
⑤事故態様
自賠責保険は後遺障害が認定される怪我は、高エネルギーの事故と考えています。
ですので、どういった事故で、自動車にどういった損壊が生じているかを重視します。
事故に遭ってから、事故態様を変えることはできませんが、資料等でなるべく高エネルギーが生じた事故であるとわかってもらう必要があります。
⑥事故後すぐに通院する
交通事故に遭い、負傷すれば、後遺障害が認定されるような怪我であれば、即時に通院するというのが自賠責保険の考え方です。
土日だからなどということは言い訳になりません。
痛かったら救急病院や夜間診療でも行くはずだ、と考えています。
事故に遭ったらとにかく一度診察を受けましょう。
⑦整形外科に通院する
接骨院、整骨院では、マッサージを中心に施術してくれるため、電気やけん引などのみの整形外科よりも、重視される方がいらっしゃいます。
しかし、後遺障害が認定されるためには、整形外科に通院し、そこでリハビリする必要があります。
整骨院・整骨院の治療が有用なことはわかるのですが、自賠責保険では、治療とはみなされず、その通院を除いて後遺障害の有無を判断していきます。
整形外科に通院した回数、治療した内容、整形外科のカルテに記載されている内容で後遺障害の有無が判断されるのです。
後遺障害等級認定制度の2つの方法
後遺障害認定を申請する場合①事前認定と②被害者請求の2種類があります。
①事前認定
事前認定は、加害者の任意保険の方で申請する方法です。
自分ですることはほとんどなく、待っていればよいだけです。
②被害者請求
被害者請求は、被害者自身が加害者の自賠責保険に対して直接後遺障害等級認定請求をする方法です。
自分で必要な資料すべて集めて相手の自賠責保険へ申請することとなります。
不足があると自賠責保険や調査事務所などとやり取りが発生する可能性があり、情報照会などを受けるとその都度対応しなければなりません。
面倒ではありますが、被害者自身が被害者にとって有利な資料を提出することができます。
例えば、自動車にかなり大きな損傷が生じている態様の事故であれば、実況見分調書や自動車の修理レポートなどを添付すると、高エネルギーの事故であることをわかってもらえます。
むち打ちで後遺障害非該当の場合の異議申立手続
後遺障害等級認定の結果に納得できない場合、被害者は「異議申立」ができます。
異議申立書を作成して認定結果を変更してもらうよう請求できます。
異議申立には、期間や回数の制限はありません。
ただし、同じ機関が審査するため、同じ申請をしても結果は変わりません。
追加の証拠が必要になります。
例えば、主治医の方に非該当となった理由を反証する意見書を書いてもらう、その怪我の専門家である医師の意見書を書いてもらう、などです。
自賠責保険共済紛争処理機構
異議申立が通らなかった場合、自賠責保険・共済紛争処理機構を利用する方法があります。
自賠責保険・共済紛争処理機構とは、交通事故の被害者と自賠責保険や共済との間で生じたトラブルを仲裁するためのADRです。
自賠責保険とは異なる視点から後遺障害についての判断をしてくれる可能性があります。
自賠責保険・共済紛争処理機構で出た判断に対し、自賠責保険や共済は従わねばなりません。
一方で被害者側は、内容に納得できなければ従う必要はありません。
認定結果を変えてもらうには、やはり根拠となる証拠が必須となります。
審理は、同じ紛争については1回のみです。
訴訟提起
自賠責保険に対して異議申立を行っても自賠責保険・共済紛争処理機構を利用しても後遺障害認定の結果が変わらなかった場合、訴訟をすることになります。
ただし、現状裁判所は、自賠責の判断を尊重することが多く、訴訟をすればよい結果が出るというわけではありません。
訴訟提起したばかりに、過失割合や損害額について争われ、結局交渉時の金額を下回ることもあります。
訴訟提起については、慎重な判断が必要です。
以上、むち打ちで後遺障害等級を得るために必要なことを説明してきました。
むち打ちの後遺障害についてお悩みなら、交通事故に強い弁護士に相談することをお勧めします。
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