自動車保険の基礎知識
1 自賠責保険について
自賠責保険とは、自賠責法5条に基づき、原則としてすべての自動車に、その契約締結を義務付けられている強制保険です。
強制保険ですので自賠責保険に加入していない自動車の運行は禁止されており、これに違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(自賠責法86条の3)。
自賠責保険によって支払われる額は、死亡が3,000万円、後遺障害は後遺障害の等級に従い14級の75万円から、1級の4,000万円まで、傷害(治療費、休業損害等)については120万円を上限としています。
これに対して、任意保険の対人賠償保険は、自賠責保険金額を超える部分を担保することになり、多くの方は対人対物無制限の契約を締結するため、賠償全額の支払を受けることが出来ます。
このように、自賠責保険の上限額からすれば、相手からの損害賠償義務を自賠責保険で賄うのは難しいので、任意保険には加入するのは運転する人間の義務といえます。
2 賠償責任保険(任意保険)について
賠償責任保険とは、自動車事故により、人を死傷させたり、物を損壊させたりするなどして損害賠償責任を負った場合に、相手方に対する賠償によって被った損害を補償する内容の保険です。
対人賠償責任保険と対物賠償責任保険の2種類があります。
自賠責保険には対物保険はありませんので、交通事故を起こした際に任意保険に加入していないと対物保険全額を自らの財産から支払うこととなります。
対人賠償責任保険で填補される損害は、被保険者が負担した法律上の損害賠償責任の額です。
相手方との任意保険会社は、会社の利益のため基準より安い金額を提示してくるので、被害者としては、弁護士に依頼し、代理人をつけて対抗する必要があるといえます。
3 人身傷害保険について
人身傷害保険(正確には人身傷害補償保険)とは、自動車の人身事故にあった場合、保険金額の範囲内で保険金が支払われるものです。
保険契約者自身の損害を填補する保険です。自分の身は自分で守るための保険と言えます。
自身の加入する保険会社の支払い基準に基づき保険金が支払われることになります。
人身傷害保険は、相手方と過失割合について争いになっているケースや、相手方が保険会社に加入していない場合、ひき逃げ事故の場合などに必要となる保険です。
4 自賠法における「運行によって」発生したとはどういうこと?
加害車両の保有者が加入する自賠責保険から保険金を受け取るためには、その人身被害が加害車両の「運行によって」発生したといえなければなりません(自賠法3条、11条、16条1項)。
「運行」とは、人または物を運送するしないに関わらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいいます(自賠法2条2項)。
そして、自動車を当該装置の用い方に従い用いることには、自動車をエンジンその他の走行装置により位置の移動を伴う走行状態におく場合を含みます。
5 運行供用者責任について
交通事故では、「運行供用者」といわれる人たちから賠償金を受け取れることがあります。
運行供用者とは、「車の運転について、運転者と貸し借り、経済的関係などの人的関係にある人」をいいます。
しかし、この「運転者とどのような関係にある人が運行供用者にあたるか」は弁護士や裁判官でも苦慮する、とても微妙な問題なのです。加害者が無保険の場合には、相手方の保険会社が出てこないため交渉が難航しやすいこともあり、賠償金を諦めてしまいがちです。
一度弁護士に相談し、運転者以外の人への請求ができないか、考えてもらうことをお勧めします。
運営者情報
-
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
弁護士紹介はこちら
最新の投稿
- 2024.11.26死亡事故の被害者が歩行者の場合の損害賠償・過失割合について
- 2024.10.28歩行者が交通事故被害に遭った場合の慰謝料はどうなる
- 2024.09.27交通事故で車椅子生活を強いられてしまったら
- 2024.09.27電動キックボードの交通事故
横須賀での交通事故にお悩みの方は
今すぐご相談ください
-
提示された示談金が
低すぎる -
適切な後遺障害等級の
認定を受けたい -
保険会社の対応に
不満がある -
過失割合に
納得がいかない -
治療費の打ち切りを
宣告された -
どのように弁護士を選んだら
いいのか分からない -
追突事故
-
バイク事故
-
死亡事故