高次脳機能障害と認められるために必要なこと
交通事故などで脳が損傷されることによって引き起こされる、認知障害や人格変化などのことを高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害は、目に見える箇所の怪我ではないため、気づくまでに相当な時間を要する問いもあります。
症状としては
- 新しいことが覚えられない、すぐに忘れてしまう、思い出せない
- 気が散りやすい、集中できない
- 自分が今どこにいるのか、今日が何曜日かなどがわからなくなる
- 視界の中に、見えなかったり見落としやすい空間がある
- 行動を計画して実行することができない、複数の作業を同時にこなすことができない
- 周囲の状況を見て適切に振る舞うことができない、話の要点をまとめることができない
- 我慢することができない
- 自発性の低下、衝動的になる、怒りやすくなる、自己中心的になる、病的に嫉妬するなどがあります。
交通事故において「高次脳機能障害」と認められるには自賠責保険の定めた要件を満たさなくてはなりません。
多少改善されてはいるものの、裁判所も滅多に自賠責基準を満たさない場合、高次脳機能障害を認めてくれないことが多いです。
その要件は、
- 高次脳機能障害(脳挫傷・びまん性軸索損傷)等の診断がされていること
- 認知・行動・情緒障害等の症状・失調性歩行や麻痺等が認められること
- 初診時の頭部画像に頭蓋内病変(脳実質の損傷)があること
- 初診時に意識障害があること
(JCS3~2桁、GCS12点以下もしくはJCS1桁、GCS13~14点が1週間以上続いていること)
となっています。
認定されるためには
- MRIやCT上、脳実質の損傷や脳室の変化が確認できるかどうか
- 意識障害の程度
- 神経心理学的検査の実施
の3つが重要なポイントとなります。
高次脳機能障害において認定される後遺障害等級は以下のとおりとなっています。
1級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
皆さんが一見しても何が違うのかわかりにくいかと思います。
そのあたりは交通事故に注力していないと弁護士でも分からない場合があります。
当事務所が担当した事件を紹介します。
Xさん(当時小学生 女の子)の場合
横断歩道を歩行中に自動車とぶつかってしまったXさん。
重い交通事故の結果に刑事事件を担当していた検事が後のためにもしっかりと対応した方が良いとアドバイスをしたため、当事務所を訪れお母様よりご依頼を承りました。
事故後しばらくは意識そのものがなく、びまん性軸索損傷として器質的変化も明白にありました。検査結果の数値も高次脳機能障害そのものであり、依頼者の方はもちろんご家族の人生がかかっていると考え、尽力しました。事故前と様子も変わってしまっており、医師からは「高次脳機能障害」との診断を受けました。
事故前は通常の学級に通い、家では兄弟の面倒を進んでみてくれる頼りがいのあるお姉さんでしたが、事故後は学習面もついていけず、家でも学校でもトラブルが多くなってしまいました。些細なことでも弟と喧嘩をしたり、お母様への執着心が強くなるなど、事故前とは大きく性格が変わりました。
正当な後遺障害等級認定を得て、正当な賠償金を得ないと家族が大変なことになってしまうと考えて、
・小学校の先生複数から陳述書を書いてもらう
・友人・知人方にも陳述書を書いてもらう
・担当医のところへ何度も通い、必要な検査をしてもらい、後遺障害診断書の記載を納得いく、ものにしてもらう
など出来ることは何でもしていきました。
結果、後遺障害等級3級が認定され1億数千万円の賠償金を得て無事解決なりました。
この事件に数年間全身全霊を捧げてきたため、解決した際すべての力が抜け、しばらく何も手につかない状況となったことを今でも覚えています。
Yさん(成人 男性)の場合
Yさんは歩行中に自動車に跳ねられてしまったYさん。
その後お父様の様子がおかしく、医師から高次脳機能障害と言われたため、当事務所に相談にいらっしゃり息子さんから後遺障害等級申請などすべてを任せたいとのことでご依頼を承りました。
Yさんには脳挫傷やくも膜下出血等があり、事故前は一人で家族の手を全く借りずに過ごしていたのですが、事故後は身の回りのことが一人ではできなくなってしまいました。
息子さんも兄弟で代わる代わる父親であるYさんの見守りに追われながら仕事をしなければならなくなり、毎日疲れきっているご様子でした。
高次脳機能障害の場合は、事故後の様子については、医師はもちろんのこと、ご家族より所定の書類をもらうなど必要な証拠を集めていきました。
被害者請求した結果、Yさんには無事「7級」の認定がおりました。
相談にいらっしゃってすぐに入院中のYさんの様子を拝見に行きました。
健康ではある様子でしたがどこか覇気がない感じでした。事故後間もなかったため、しっかりと治療してもらい、症状固定後は後遺障害等級を少しでも上の等級となるように被害者請求の準備をしていきました。
ある程度まとまった損害賠償額を受け取ることができ息子さんから非常に感謝されました。
以上、高次脳機能障害について述べてきましたが、必要な時期に必要な検査などがないと生活に支障が出ているのに、高次脳機能障害とは認定されないことがあります。
頭部外傷があり、上に挙げたような症状があったら、病院でも高次脳機能障害の可能性はないかすぐに確認するとともに、高次脳機能障害について経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
まずは当事務所の初回無料相談をお気軽にご利用下さい。
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初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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