バイクのすり抜け事故について

バイクのすり抜けでは、まずその行為が違法となるかどうかその後の話が変わってきます。

道路交通法違反となるケースについて説明していきます。

 

すり抜けは、道交法においては「追い越し」または「追い抜き」として扱われています。

したがって、追い越しや追い抜きと同じように判断されるのです。

追い越しと追い抜きについてみていきましょう。

 

  • 追い越し

進路を変えて前方車を追い抜き、そのまま直進あるいは再び進路を変えて追い抜いた車両の前方に出ること

  • 追い抜き

進路を変えずに前方車を追い抜き、そのまま直進あるいは再び進路を変えて追い抜いた車両の前方に出ること

ただし、バイクの場合、たとえ進路変更をして前方車を追い越したとしても、車線をはみ出していなければ追い抜きとされます。

 

バイクのすり抜けが違反となる場合

 

  • 白い実線、黄色い実線をはみ出しての追い越し

白い実線や黄色い実線が引かれた道路では、線をはみ出しての追い越しは違反となります。

白い破線であれば車線を越えた追い越しも追い抜きも可能であり、白い実線や黄色い実線でも車線をはみ出さない追い抜き・追い越しは可能です。

 

  • 特定の場所における追い越し

車線の種類にかかわらず、以下の場所では、車線を越えての追い越しが禁止されています。

 

  • 曲がり角付近
  • 上り坂の頂上付近
  • 急こう配の下り坂
  • トンネルの中
  • 以下の場所とその手前30m
  • 交差点
  • 踏切
  • 横断歩道
  • 自転車横断帯

このことは、道路交通法第30条で定められています。

 

なお、交差点・踏切・横断歩道・自転車横断帯とその手前30mについては、道路交通法第383項にて、追い抜きも禁止されています。

 

左側のすり抜けは状況次第で違反

車線をまたいでの追い越しは、原則として前方車の右側を走行するよう定められています。

 

・路肩はすり抜け可、路側帯は不可

道路の両端には、車道外側線と呼ばれる白線で区切られた細い通路があります。

この細い通路が「路肩」であれば、バイクの走行は違反ではありません。そのため、路肩を通って、車道の自動車を抜いていくことは可能です。

一方、車道外側線の外側が路側帯であれば、バイクの走行は禁止されているので、路側帯を通っての追い抜きはできません。

 

バイクのすり抜け事故の過失割合

(1)左折車とバイクのすり抜け事故

左折しようとしたときに後ろからすり抜けてきたバイクを巻き込んでしまった場合、過失割合は以下の通りです。

 

基本の過失割合は、左折車:バイク=80:20となります。

ただし、事故状況によってそれぞれの過失割合が修正されます。

      

大型車両  5
左折の合図が遅れた 5
徐行せず左折しようとした  10
大回り左折 10
進入路鋭角 10
左折の合図なし 10
直近左折 10
著しい前方不注意 +10
15㎞以上の速度違反  10
30㎞以上の速度違反 +20

 

 

(2)右折車と対向車線からすり抜けてきたバイクの事故

車で右折しようとしたところ、対向車のかげからすり抜けて直進してきたバイクと衝突してしまった場合、過失割合は以下の通りです。

 

基本の過失割合は、右折車:バイク=70:30となります。

ただし、バイク側に著しい前方不注意があればバイク側の過失割合が1020%、交差点以外での事故なら右折車側の過失割合が510%増えます。

 

(3)開いた車のドアとバイクのすり抜け事故

路上でドアを開けていたところにバイクがすり抜けようとして来て事故になった場合、過失割合は以下の通りです。

 

基本の過失割合は車:バイク=90:10となります。

なお、実際には事故状況を考慮して、以下のように過失割合が修正されます。

夜間 5
合図(ハザードランプなど)なし 5
直前のドア開放 10
ドア開放を予測できた  10
15㎞以上の速度違反 10
30㎞以上の速度違反 20 

 

以上述べてきた通り、バイクによるすり抜け事故にはさまざまなパターンがあり、実際にどのような過失割合が適用されるかは千差万別といえます。

是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。

事案ごとに適切なアドバイスをさせていただきます。

運営者情報

島武広島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、交通事故被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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