むちうちの後遺傷害について
交通事故といえば真っ先に思い浮かぶ怪我が「むちうち」ではないでしょうか。
実は正式な傷病名ではなく、事故時に首がムチのようにしなり頸椎周辺を負傷させるためこのような俗称がついています。
正式な傷病名としては、椎捻挫(けいついねんざ)、頸部挫傷(けいぶざしょう)、外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)、バレ・リュー症候群などと診断されます。
むちうちは大した怪我ではないという話も良く聞きますが、症状によっては日常生活に支障をきたすことも多々あり、しっかりとした治療や検査をしていく必要があります。
むちうちの種類
むちうちの種類としては、捻挫型、神経根症型、バレ・リュー型があります。
それぞれの原因と症状について、説明します。
①捻挫型
外傷性頚部症候群の約70%を占めている傷病です。
②神経根症型
傷病名では、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎椎間板ヘルニアなどと呼ばれるもので、頚部に痛みや、運動制限を感じるものです。
また、左右のどちらかに肩から手指にかけて、だるさ感や痺れや痛みなどを感じる症状です。
③バレ・リュー型
バレ・リュー型は、交感神経の損傷が原因となり、自律神経失調症状を示し、倦怠感や疲労感、耳鳴りや動悸などの状態を示すことが多いものです。
後遺障害認定について
むちうちは、後遺障害として認められないと思い込まれている方もおられるのですが、実際には、むちうちでも後遺障害が認められることはあります。実は、全部の後遺障害認定の中で最も多く、半分以上を占めているのは、むちうちのケースなのです。
但し、むちうちであれば、必ず後遺障害が認められる訳ではなく、下記の表が認定の基準となります。
等級 |
労働能力喪失率 |
労働能力喪失期間 |
認定基準 |
12級13号 |
14% |
5~10年 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 |
5% |
5年以下 |
局部に神経症状を残すもの |
「むちうち」が後遺障害として認定されるためには、交通事故に遭われた後、ある程度の期間、根気よく継続的に治療を続けることが必要ですし、一定の検査を受ける必要もあります。
「むちうち」で後遺障害の認定を受けるためには、継続的な治療と適切な検査を受けることが重要になり、症状が医学的に説明できるようにする必要があります。
このあたりは一般の方が適切な治療と検査を漏れなくやっていくのはなかなか難しいと言えます。
可能でしたら、特に弁護士費用特約を使えるのであれば、早期に交通事故に詳しい弁護士に依頼してアドバイスをもらいながら治療や検査をしていく必要があります。
「むちうち」後遺障害の14級と12級
「むちうち」の後遺障害としては、12級又は14級があります。
そして、14級と12級との違いは、自賠責後遺障害等級表では、
12級「局部に頑固な神経症状を残すもの」(13号)、
14級「局部に神経症状を残すもの」(9号)
とされています。
要するに、シビレなどの神経症状が交通事故の外傷によるものと医学的に証明、多くの場合は画像上証明できるかどうかの違いです。
等級が12級と認定されるか、14級9号と認定されるかは、受け取ることのできる損害賠償額が大きく変わってしまいます。
ちなみに、自覚症状があっても医学的に説明できないような場合には非該当とされてしまいます。
医学的に証明できる場合とは?
①知覚障害、局部のしびれ感、麻痺がある場合
それがレントゲン写真・CT写真・MRI写真・脳波検査・筋電図等の検査によって証明される場合
②知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるときに、神経学的所見として神経根症状誘発検査において陽性の所見が認めら
れ、かつ、これを客観的に裏付ける画像上の椎間板の膨隆や突出、神経根の圧迫等が確認できる場合 などがあります。
以上「むちうち」について述べてきましたが、昨今自賠責保険の後遺障害等級認定も厳格化の方向にあります。そういった場合、自賠責の認定を取るために必要なことを治療開始から症状固定まで行い、症状固定後も適切な資料収集が求められます。
症状があれば認定されていた時代から、症状が合っても適切な治療・検査をして、必要な資料を自賠責保険に提出していくことが必要な時代になっています。
このような時代だからこそ、交通事故における専門的知識を有する弁護士のサポートを受けることが重要です。
まずは当事務所の初回無料法律相談をお気軽にご利用下さい。
運営者情報

- 島法律事務所 代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
-
当サイトでは、交通事故問被害にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
弁護士紹介はこちら
最新の投稿
- 2022.06.29交通事故における肋骨骨折について
- 2022.06.29むちうち症状をどうやって医師に伝えたらよいか
- 2022.05.28交通事故で相手保険会社が嫌がること
- 2022.05.26お客様の声

